
「構造改革」、ジェンダーの二つをテーマに、現に進行中の問題を打開する展望を経済学の目で探る。竹中経財相の主張の総括的な検討、戦後の日米経済関係の歴史的検証、フェミニズムとの理論的・実践的対話をふまえた賃金論などに関する問題提起……大胆かつ柔軟に、時代の課題にとりくむ科学的社会主義の特徴をいかんなく発揮した論考の数々!
目次や構成
[目次]
- はじめに―改革者としての知性が問われる時代
- 第1部 「構造改革」とは何か
- 第1章 「ゼネコン国家化」「多国籍企業化」の財界戦略
- 一 情勢を見る問題意識
- 二 財界の政治支配
- 三 アメリカによる世界戦略の新展開
- 四 財界の「国際戦略」
- 五 「ゼネコン国家化」
- 六 自民党衰退と財界の内部対立
- 七 民主的改革を目ざして
- 第2章 「理論」なき弱肉強食―竹中流経済政策を読む
- 一 竹中流「構造改革」の世界的背景
- 二 財界・政府の主導権争い―ゼネコン国家とグローバリゼーション
- 三 竹中流「構造改革」論の個別的検討
- 四 竹中流「構造改革」論の「理論」的背景
- 補論 個人消費を敵視する設備投資循環論
- 第3章 経済の空洞化を促進させる対アジア戦略
- 一 衝撃的な空洞化の進展
- 二 対米従属的な日本型グローバリゼーション戦略
- 三 危機意識の中での自由貿易協定の追求
- 四 財界による通商政策の限界をこえて
- 第4章 ゆきづまった「改革」―「骨太第二弾」を例に
- 一 ゆきづまりの中に「延命」の道は開けるか
- 二 財界の要求一覧としての「経済活性化戦略」
- 三 「経済」論議なき弱いものいじめの財政改革
- 四 公共事業温存・社会保障削減の「歳出改革」
- 五 「骨太第二弾」に見る小泉流「構造改革」の基本性格
- 六 経済政策の転換を考える自由で真剣な討論を
- 第5章 財界の対米従属と過度の依存
- 一 ジャーナリズムが「独立」を論じる時代の中で
- 二 アメリカ戦略としての財界の「復活」
- 三 従属と依存のからみあった展開
- 四 日本市場への支配と介入の諸政策
- 五 「奥田ビジョン」はなぜ金融市場を語らないのか
- 六 アメリカ市場への過度の依存から東アジアでの連帯と共同の道へ
- 第1章 「ゼネコン国家化」「多国籍企業化」の財界戦略
- 第2部 ジェンダー論を考える
- 第1章 企業社会のジェンダーギャップ
- 一 職場の中の具体例
- 二 「雇用機会均等法」と労働条件
- 三 「M字型雇用」から見えるもの
- 第2章 主婦とはどういう存在なのか
- 一 増えている働く主婦
- 二 近代家族の誕生と主婦
- 三 変化していく主婦
- 第3章 マルクス主義とフェミニズム
- 一 フェミニズムとの接点
- 二 企業社会分析におけるジェンダー視角の必要性
- 三 マルクス主義の「女性解放」論
- 四 フェミニズムによるマルクス主義の評価
- 五 マルクス主義と「家族賃金思想」
- 六 資本主義と家父長制
- 七 「女性解放」の現代的指針を
- 第4章 女性の「家庭責任」と財界の思惑
- 第1章 企業社会のジェンダーギャップ
- おわりに―よりマシな社会と生き方を求めて
著者情報
石川康宏
1957年北海道生まれ。京都大大学院経済学研究科単位取得退学。神戸女学院大教授(経済学・経済理論)。『覇権なき世界を求めて』(2008年、新日本出版社)、『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)、『橋下「維新の会」がやりたいこと』(2012年、新日本出版社)、『女子大生のゲンパツ勉強会』(2014年、新日本出版社、共著)、『「古典教室」全三巻を語る』(2014年、新日本出版社、共著)、『若者よ、マルクスを読もう』(2010年、かもがわ出版、共著)など。