
市場化・営利化への対抗軸
社会保障の再構築 市場化から共同化へ
横山壽一=著
国民負担増、質の低下など、「構造改革」で壊されてきた日本の社会保障。その立て直しを展望し、市場化・営利化の現状を分析するとともに、社会保障の公共化・共同化への手がかりを探ります。介護、医療など各分野の考察から「準市場」概念の整理まで、骨太でラディカルな理論探求が光る労作。
目次や構成
〔目次〕
- 序―市場化路線の総括と決着への課題
- 第1章 社会保障の市場化をめぐる現局面
- 社会保障の「綻び」と機能強化論
- 市場化路線への執着と継続
- 「構造改革」の手直しと市場化の新たな戦略
- 第2章 持ち込まれた市場原理と「準市場」
- 福祉の市場化というものの性格
- 準市場をめぐる研究の動向
- 準市場をめぐる理論的課題
- 介護市場の場合
- 医療市場の場合
- 準市場をめぐる議論と制度改善
- 第3章 市場化路線は社会保障をどう変えたか
- 市場化の具体的側面―供給体制と給付構造の市場化
- 市場化による社会保障の変容
- 市場の優位性の実践的破綻
- 社会保障を内部から崩壊させる変化
- 第4章 「改革」の帰結と今後の課題―コムスンの問題を例に
- コムスンの不正行為とコムスン商法
- 介護保険事業と不正行為
- 不正行為の温床をつくった市場化・営利化
- コムスン問題の本質と課題
- コムスン問題と介護保険制度の改革
- 第5章 市場化の中の福祉労働
- 福祉労働と福祉の市場化の基本的整理―議論の前提
- 福祉労働の特性
- 福祉の市場化と福祉労働の変容―介護保険制度の場合
- 福祉労働の復権と権利保障
- 第6章 市場化から公共化・共同化へ
- 社会保障における行政の役割と責任の再構築
- 市場的公平論の克服と社会保障における共同性の復権
- 公共性・共同性にふさわしい権利保障システムの確立
- 社会保障財源の確保と国民経済の転換
- あとがき
著者情報
横山壽一
1951年鳥取県生まれ。金沢大学教授(経済学)。『社会保障の市場化・営利化』(新日本出版社)、『国民生活と社会福祉政策』(編著、かもがわ出版)、『地域介護調査からみた高齢者の実像』(編著、萌文社)など著作多数。

社会保障の再構築 市場化から共同化へ
定価2,090円
(本体1,900円)
2009年5月