
思想弾圧が凶暴化するなか、新たな理論発展を遂げた河上が『貧乏物語』の弱点を一掃して、科学的社会主義の普及に大きな役割を演じた『第二貧乏物語』。当時、伏せ字を余儀なくされながらも、全編に溢れる社会的正義感とマルクス主義の真理性の主張で、読者の魂をゆさぶった名著を、元原稿による戦後の完全版をもとに、読みやすい新体裁で刊行。解説は『貧乏物語』で名解説の林直道氏。
目次や構成
〔目次〕
- 序
- まえおき
- 弁証法的唯物論(総論)
- 弁証法的唯物論(細論の1)
- 弁証法的唯物論(細論の2)
- 弁証法的唯物論(細論の3)
- 弁証法的唯物論の批判の批判
- 唯物史観(その1・社会の一般的運動法則)
- 唯物史観(その2・社会形態の推移の主要段階)
- 唯物史観(その3・社会的存在と社会的意識)
- 唯物史観(その4・プロレタリアアートの認識の武器――必然の王国から自由の王国への跳躍)
- 唯物史観から資本主義的社会の解剖へ
- 驚くべき貧富の懸隔
- 資本主義的社会の細胞としての商品の分析
- 価値の実態としての社会的労働
- 剰余価値
- 剰余価値の出所
- 商品としての労働力
- 労働時間延長、賃銀値下げ、産業合理化――労働能率の増進、等々
- 資本主義社会の行き詰まり――その必然的崩潰
- 解説――林直道
著者情報
河上肇
1879年〜1946年。経済学者。山口県岩国町(現・岩国市)生まれ。東京帝国大学農科大学講師、読売新聞社社員などを経て、1915年から京都帝国大学教授。1928年京都帝大を辞職し実践活動に参加。33年に検挙・収監される。37年出獄後は、自叙伝などを執筆。終戦後、活動への復帰を予定したが、1946年に逝去。『河上肇全集』(全36巻、岩波書店)など著書多数。

第二貧乏物語
定価1,760円
(本体1,600円)
2009年6月
林直道
林直道(はやし・なおみち)大阪市立大学名誉教授。1923年生まれ。大阪商科大学卒業。主な著書=『経済学入門』『現代の日本経済』『日本経済をどう見るか』(いずれも青木書店)『恐慌の基礎理論』(大月書店)『恐慌・不況の経済学』(新日本出版社)など多数。

第二貧乏物語
定価1,760円
(本体1,600円)
2009年6月