
「小泉改革」以来、教育が政治にふりまわされてきた。序列化を強めて子どもを失望させ、学力を低下させてきた全国学力テストや学校選択制。職員会議での「挙手禁止」を強いる東京都教委。おかしな現状を変えるため、子どもの幸福度が世界一といわれるオランダにも学びつつ、教育の条理をふまえて日本の教育の針路を探る。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに
- 第1章 時代を逆走する「改正」教育基本法――まるで「クーデター」
- 「新」教育基本法誕生?物語?―その真相
- 新法の下でいかに教育と子育てを展開していくか
- 第2章 吹き荒れる「数字の嵐」――これでは「教育破綻」
- 子どもを窒息させる数値目標
- 復活した「全国学力テスト」――その問題点
- 学校選択制で友達も地域もバラバラに
- 授業料滞納問題にみる「教育の不条理」
- 第3章 子どもや教員の味方になれない教育委員会
- 事件が教える、教育委員会の力量
- すさまじいばかりの「教育偽装」
- 政治家の「不当な支配」に加担
- 教育委員会を風通しよく
- 第4章 教職員も?伸びる?学校へ
- 教職員に「発言の自由」がない
- 教職員を無力化させる「挙手禁止」――「やる気」と「教師力」の喪失
- 教員免許の「賞味期限」は10年?
- 第5章 海外から見た「教育鎖国」日本
- ILO・ユネスコ調査団の日本政府への是正勧告
- 子どもの「幸福感」世界一のオランダから見た日本
- 第6章 「教育条理」を貫く
- 体罰問題で考える「子ども観」
- 教育の「原風景」―― 子どもの「心に寄り添う」
- どこをめざす? 日本の教育の進路
- 終 章 「五観」を転換させよう
著者情報
尾木直樹
教育評論家。臨床教育研究所「虹」所長。法政大教授。1947年滋賀県生まれ。早大卒業後、私立高校、公立中学教師を経て現職。『新・学歴社会が始まる』(青灯社)『学校は再生できるか』(NHKブックス)、『子どもの危機をどう見るか』(岩波新書)、『元気が出る子育て論』『子育てとテレビ新事情』(新日本出版社)

変われるか? 日本の教育 現場の視点から「教育改革」を斬る
定価1,980円
(本体1,800円)
2009年9月