
「平和への切ない祈り」をこめて、戦争の悲劇を次の世代に伝え残す
歌われたのは軍歌ではなく心の歌 語り残す戦争体験
日野原重明=監修 「新老人の会」=編
「新老人の会」は、聖路加国際病院理事長・日野原重明さんのよびかけで2000年9月に発足した75歳以上の人たちの会です。会員は皆、戦争と真正面から向き合って生きてきた世代。本書に収録された体験は、いずれも再び戦争の悲劇を繰り返さないことを願い綴られた、後世へ語り残す「遺書」であり、胸を打つ真実の記録です。
目次や構成
- はじめに 日野原重明
- Ⅰ ニューギニアの前線にとり残されて
- ダイナマイトまで食べたシベリア抑留の飢餓地獄 阿波根朝宏
- 東洋鬼と言われて 鈴木總子
- 敗け戦の実像 村田清
- 北満で迎えた敗戦 鼻岡八重子
- 「はあぶる丸」でトラック島へ 清水真夫
- ニューギニアの前線にとり残されて 宇多田正純
- 召集、復員、ある兵士の軌跡 森友行
- 古都奈良で迎えた敗戦前後の日々 永井聿枝
- Ⅱ 学徒動員から出征へ
- 戦争をいかに語り伝えるか 本間久雄
- 歌われたのは軍歌ではなく心の歌 藤原剛
- 中国人の中で暮らした六年間 藤村英子
- 原爆被爆者の地獄の苦しみ 小俣幸子
- 死と背中合わせのバシー海峡漂流三十時間 瀬戸忠信
- 三日間の花嫁 川面万里子
- 怒りと嘆きの底から 夏地弥栄子
- 中島飛行機製作所空爆の惨状 濱田毅一
- 音楽に国境は無い 鈴木康雄
- 戦争のない世界を 渡辺サダコ
- 生命の灯 中山ふみ
- 学徒動員から出征へ 河住正雄
- 戦後五十七年、あの若者たちの命を想う 五十嵐文
- 中国と出会い、考えたこと 小島正喜
- 戦中・戦後の食べもの事情 福田幸子
- 「戦争体験を語り継ぐ」ことの大切さ 畑中九州生
- Ⅲ 戦争の影を落とした青春
- 大連に生まれて――波瀾の五十六年 福久一枝
- いのち翔るごとく、東京大空襲 田部穆
- 戦争の影を落とした青春 蟹江緋沙
- 鎮魂、航空基地・木更津で 草薙照子
- 一瞬のうち 江口美代子
- 終戦当時、父の診療所でのこと 濱地習子
- 体重半減の抑留生活 一ノ瀬正人
- 十八歳の夏 須田昭治
- メリーさんへの手紙 田和久美
- 無言の再会 清水照子
- ある死刑囚の日記 大濱有子
- 広島陸軍被服廠での原爆体験 金田司
- Ⅳ 母の祈りは時空を超えて
- 学徒勤労動員の名で労働を強いられた十代 井上園子
- 上野駅のまっ白なおにぎり 菅野和子
- なぜこんな目に…… 高﨑功一
- 生涯消えることがない体験 岩田尚子
- 母の祈りは時空を超えて 徳植弘幸
- 父の遺言書 堀之内誠
- 終章 日野原重明「私の戦争体験」
著者情報
日野原重明
1911年山口県に生まれる。京都大学医学部卒業、同大学院修了。1941年聖路加国際病院に内科医として赴任。1951年米国エモリー大学に留学。1973年(財)ライフ・プランニング・センターを設立。聖路加国際病院院長を経て、現在、理事長・同名誉院長。1998年日本ユニセフ協会大使に就任。2000年75歳以上の元気な老人の会「新老人の会」を結成。2005年文化勲章受章。著書に『生きかた上手』(いきいき)、『いま伝えたい大切なこと〜いのち・時・平和』『日野原重明の「こころ」と「からだ」の相談室――60歳からの幸せ問答』(日本放送出版協会)、『いのちのバトン――97歳のぼくから君たちへ』(ダイヤモンド社)など。

歌われたのは軍歌ではなく心の歌 語り残す戦争体験
定価1,540円
(本体1,400円)
2010年6月
「新老人の会」

歌われたのは軍歌ではなく心の歌 語り残す戦争体験
定価1,540円
(本体1,400円)
2010年6月