
『砂の器』『点と線』など今なお多くの読者を持つ松本清張。生前親交のあった著者が、三島由紀夫、司馬遼太郎との歴史観・文学観の比較、プロレタリア文学との関係にまで言及し、清張文学を推理小説の枠組みから解き放ち、「批判精神を持つ民衆文学」と位置づける画期的な評論。著者作成の「註釈付略年譜」を付す。
目次や構成
- Ⅰ はじめに―私と松本清張
- 1 国民作家とは何か
- 2 大衆性を持つということ
- 3 推理小説をリアリズムの文学に
- 4 「社会派」の意味するもの
- 5 清張とプロレタリア文学
- 6 清張作品の独自性
- 7 清張文学を巡る文学者の意見―三島由紀夫問題
- 8 異色の企業小説『空の城』
- 9 清張と司馬遼太郎の歴史観
- 10 私の好きな清張作品
- 11 清張における「政治」―共創協定を中心に
- 12 三人の一九四五年八月十五日
- Ⅱ 松本清張・註釈府略年譜
著者情報
辻井喬
1927年東京生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、セゾン文化財団理事長。

私の松本清張論 タブーに挑んだ国民作家
定価1,650円
(本体1,500円)
2010年11月