
突如浮上したかに見える環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)。背景にはアメリカ政府と日本の財界の思惑があった。米国言いなりの経済政策の歴史をえぐりながら、日本の農業と経済を危機に陥れるTPPとその背景を深く解明。新自由主義「改革」の行方を告発した好評の旧版をバージョンアップ、今こそ読みたい一冊!
目次や構成
- はじめに―TPPとは何なのか
- 第1章 新自由主義というものの始まり
- 第1節 レーガン政権と新自由主義
- 1 構造「改革」の歴史的淵源
- 2 ケインズ主義から新自由主義へ
- 3 レーガンの経済政策は功を奏したのか
- 4 金融の規制緩和と自由化の進行
- 第2節 中曽根政権のしたこと
- 1 「日米は運命共同体」という政権の誕生
- 2 東京サミットにかけた中曽根首相の思惑
- 第3節 日米貿易摩擦と米国の対日要求
- 1 日米貿易摩擦の始まり
- 2 貿易不均衡はなぜ問題なのか
- 3 日米貿易摩擦の激化
- 4 日本をターゲットとしたスーパー三〇一条
- 5 ワシントン発「改革」のはしりとしての日米構造問題協議
- 第1節 レーガン政権と新自由主義
- 第2章 日本経済「改造」計画とその具体化
- 第1節 クリントン政権の誕生と国際経済政策
- 1 経済的「負の遺産」からの再生計画
- 2 クリントン政権は世界をどのように見たのか
- 3 政治を前面に立てた戦略的通商政策
- 第2節 「日米包括経済協議」と「年次改革要望書」
- 1 日本経済「改造」計画はいかにして始まったか
- 2 日米包括経済協議とは
- 3 米国が獲得した成果
- 4 年次改革要望書はいかに作成されたのか
- 5 米国政府による規制緩和の具体的要望
- 第3節 橋本「改革」とは何であったのか
- 1 第二期クリントン政権の対外経済政策
- 2 金融覇権を狙うクリントン政権
- 3 橋本内閣の「五つの改革」と対米関係
- 第1節 クリントン政権の誕生と国際経済政策
- 第3章 ブッシュ政権下の米国経済が示すもの
- 第1節 ブッシュ政権の誕生と9・11同時多発テロの発生
- 1 減速気味の米国経済
- 2 9・11同時多発テロの発生
- 第2節 不正経理・粉飾決算と米国型金融システム
- 1 明らかになった「ニュー・エコノミー」の正体
- 2 米国型金融システムとバブルの発生
- 3 バブルの崩壊と国民経済への影響
- 第3節 イラク戦争とブッシュ政権
- 1 イラク戦争はなぜ始まったのか
- 2 帝国主義的な政策と途上国戦略
- 第4節 ブッシュ政権の経済政策とは何であったのか
- 1 減税政策の功罪
- 2 雇用と景気は持ち直したか
- 第1節 ブッシュ政権の誕生と9・11同時多発テロの発生
- 第4章 小泉内閣と「小さな政府」論
- 第1節 不良債権処理と米国の思惑
- 1 小泉政権の誕生
- 2 「構造改革」とは何だったか
- 3 米国の戦争政策に協力する危険な道
- 第2節 郵政民営化にかけた小泉首相
- 1 郵政民営化の基本方針
- 2 米国からの「要望」と評価
- 第3節 財政構造「改革」は成功したのか
- 1 財政赤字はなぜ深刻になったのか
- 2 財政構造「改革」の基本的性格
- 第1節 不良債権処理と米国の思惑
- 第5章 世界経済危機と日本の経済政策
- 第1節 オバマ政権の誕生とその経済政策
- 1 世界経済危機はどのように始まったか
- 2 オバマ政権の経済対策
- 第2節 なぜオバマ政権はTPPを推し進めるのか
- 1 世界経済の不均衡とその是正策
- 2 米国の対外経済政策とTPP
- 第3節 日本の政権交代と経済政策
- 1 日本の政権交代はなぜ起こったか
- 2 民主党の経済政策とTPP
- 3 TPPの概要
- 4 TPP交渉参加国の協議はどのように進んでいるか
- 5 TPPはなぜ「第三の構造改革」なのか
- 第1節 オバマ政権の誕生とその経済政策
- まとめにかえて―日本の経済政策はどうあるべきか
著者情報
萩原伸次郎
横浜国立大大学院国際社会科学研究科教授。元同経済学部長。現代アメリカ経済政策論。1947年京都市生まれ。『西洋経済史』(共著、有斐閣)、『概説アメリカ経済』(共著、同)、『アメリカ経済政策史』(有斐閣)、『通商産業政策』(日本経済評論社)、『世界経済と企業行動』(大月書店)

日本の構造「改革」とTPP ワシントン発の経済「改革」増補改訂版
定価1,980円
(本体1,800円)
2011年3月