
日本共産党綱領一部改定の内容を再構成し、豊富な新しい資料、マルクス、エンゲルスの古典などにも踏み込んで、全面的に明らかにした「改定綱領学習講座」が単行本に! この講義で初めて公にする事実を含めた日本共産党の中国への対応、ジェンダー平等と科学的社会主義、格差拡大・気候変動の根本的解決の道とマルクス『資本論』などを縦横に語る。
目次や構成
目次
- はじめに——駐日大使館の方々からの二つの感想
- 一、綱領一部改定の全体像——党大会の結語での理論的整理
- 全党討論を踏まえた党の認識の到達点
- 綱領一部改定の作業のプロセスについて
- 二、中国に対する綱領上の規定の見直しについて
- 2004年の綱領改定——「社会主義をめざす新しい探究が開始……」と規定
- 1998年の両党関係正常化——ここまで踏み込んだ干渉への反省は世界に例がない
- 人権と民主主義の問題——両党会談で率直に提起した
- その後の中国の変化——この10年余のわが党の体験と対応について
- チベット問題、劉暁波氏問題——看過しがたい国際的な人権問題が
- 東シナ海と南シナ海——あらわになった覇権主義的な行動
- 2016年のアジア政党国際会議——中国への見方を決定的に変える契機に
- 第27回党大会決議での大国主義・覇権主義批判——中国側とのやり取りについて
- 綱領一部改定——10年余の事実と体験にもとづいてくだした結論
- なぜこうした誤りが起こったか——二つの歴史的根源について
- 自由と民主主義が存在しないもとでの革命——革命後もこの課題が位置づけられず
- 大国主義の歴史——世界第二の「経済大国」となるもとで誤りが顕在化
- 今回の綱領改定の意義——半世紀余の闘争の歴史的経験を踏まえた「新しい踏み込み」
- これまでは“社会主義(をめざす)国”の中に生まれた誤りの批判として
- 対外的に覇権主義の行動をとるものは、国内で社会主義をめざすと判断する根拠なし
- 国際的大義にたった批判をつらぬく
- 世界の平和と進歩にとっての大義——公然とした批判は覇権主義への痛手に
- 日中両国の真の友好にとっての大義——排外主義、歴史修正主義に厳しく反対する
- 三、植民地体制崩壊を「構造変化」の中心にすえ、21世紀の希望ある流れを明記した
- 改定前の綱領の“二つの構造変化が起こった”という組み立てを見直した
- 改定前の綱領——「世界の構造変化」を二つの角度で整理
- 「二つの体制の共存」という世界論にピリオドを打った点でも画期的意義
- 20世紀の巨大な変化の分析に立って、21世紀の発展的展望をとらえる
- 世界論の抜本的な見直しによって、世界の見晴らしがグーンとよくなった
- 改定の具体的な内容——人権の問題を補強し、21世紀の希望ある流れを明記した
- 一握りの大国から、世界のすべての国ぐにと市民社会に国際政治の主役が交代した
- 「小さな国」が堂々と活躍し、「大きな存在感」を発揮している
- 市民社会の果たしている役割が、かつてなく大きなものとなっている
- 核兵器禁止条約——NPT(核不拡散条約)という枠組みの性格が大きく変わった
- 戦後の歴史に前例をみない差別的で不平等な条約
- 条約第6条を生かして「核兵器のない世界」に進もうという流れの発展
- 最悪の差別的な条約から、核兵器禁止条約という「宝石」がつくられた
- 平和の地域協力の流れ——東南アジアとラテンアメリカの現状と展望
- 東南アジア諸国連合(ASEAN)の成功——「話し合いを続けること」
- ラテンアメリカ——逆行や複雑さを直視するとともに、長い視野で展望をつかむ
- 平和の地域協力の流れ」と「平和の地域共同体」——発展段階の違いを考慮して
- 国際的な人権保障の発展——ジェンダー平等について
- 普遍的な人権保障の取り決めを土台に、さまざまな分野で国際条約・宣言が
- ジェンダーを正面から真剣に議論した初めての大会に
- ジェンダーとは何か——「政治的につくり、歴史的に押し付けてきたもの」
- 日本のジェンダー差別の根っこ①——明治の時期に強化された差別の構造
- 日本のジェンダー差別の根っこ②——戦後、財界主導でつくられた新たな差別の構造
- 無意識の「しがらみ」から解放され、自己の力を存分に発揮できる社会を
- 日本共産党としてどういう姿勢でのぞむか——学び、自己改革を
- 科学的社会主義とジェンダー平等——エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』
- 四、資本主義と社会主義の比較論から解放され、本来の社会主義の魅力を示すことが可能に
- 改定前の綱領の立場——資本主義との比較論、「先駆性」の発揮への期待
- 2014年の第26回党大会——「いやおうなしに対比が試される」
- 中国における深刻な格差の広がり——比較論から解放された意義は大きい
- 格差拡大——資本主義をのりこえた社会への模索、社会主義への希望が広がっている
- 「アメリカでは、若い世代の約70%が『社会主義者』に投票したい!」
- 国連開発計画(UNDP)の報告書——「再分配を越える措置が必要」
- 気候変動——“社会のあらゆる側面で、前例のないシステム移行が必要”(IPCC)
- 「2100 未来の天気予報」——文字通りの「気候危機」に直面している
- 「前例のないシステム移行」——資本主義の是非が根本から問われている
- マルクスの『資本論』は、解決の根本的道筋、手がかりを示している
- 資本主義のもとでなぜ格差が生まれるのか、その解決の道はどこにあるか
- 気候変動の問題——『資本論』のなかに問題解決への手がかりがある
- “社会主義の新たな出番”の時代——未来社会の展望、希望を大いに語ろう
- 帝国主義と覇権主義——三つの点で修正・補強を行った
- アメリカ帝国主義の侵略性——二つの核心をより普遍的な形で記述
- 「世界の構造変化」を踏まえた弾力的アメリカ論——将来を見据えていよいよ大切に
- 「どんな国であれ覇権主義を許さない」——国際連帯の中心課題に据えた
- 改定綱領は、未来社会への道を、より豊かに多面的にしめすものとなった
- 五、社会主義革命の世界的展望にかかわるマルクス、エンゲルスの立場が押し出せるように
- マルクス、エンゲルスが明らかにした社会主義革命の世界的展望
- “資本主義が進んだ国から革命がはじまり、イギリス革命が決定的意義をもつ”
- ヨーロッパ革命と遅れた国ぐにの変革の関係——エンゲルスが描いた展望
- 中国に対する綱領上の規定の見直しは、未来社会論でも新たな画期的視野を開いた
- 未来社会に継承すべき「五つの要素」——マルクス、エンゲルスが力説したもの
- 「高度な生産力」——未曽有の生産力を発展させ、未来社会の物質的土台をつくる
- 「経済を社会的に規制・管理する仕組み」——銀行制度は未来社会に進むテコになる
- 「国民の生活と権利を守るルール」——「新しい社会の形成要素」を成熟させる
- 「自由と民主主義」——「民主共和制」の旗を一貫して掲げ続けた
- 「人間の豊かな個性」——「個性」の発展という角度から人類史を概括
- 改定綱領で「五つの要素」としてまとめた形で整理した意義——四つの角度から
- 発達した資本主義国における社会変革が「大道」であることを理論的に裏付けた
- 未来社会のイメージ——「豊かで壮大な可能性」がより具体的につかめるように
- 「今のたたかいが未来社会に地続きでつながっている」ことがより明瞭になった
- 旧ソ連、中国など——自由と民主主義、個性の発展などの取り組みは無視された
- 綱領一部改定は、綱領の生命力を一段と高めるものとなった
- 日本共産党が置かれた世界的位置を深く自覚して、力をつくそう
- 日本共産党は世界的にも重要な位置に押し出されている
- 「特別の困難性」を突破した先には、前人未到の「豊かで壮大な可能性」をもつ未来が
- 【資料】日本共産党綱領(2020年1月18日 第28回党大会で改定)
著者情報
志位和夫
1954年、千葉県生まれ。東京大学工学部物理工学科卒業。日本共産党幹部会委員長、衆議院議員。主な著書に、『日本共産党とはどんな党か』『人間らしい労働を』『教育基本法改定のどこが問題か』『領土問題をどう解決するか 尖閣、竹島、千島』『改定綱領が開いた「新たな視野」』など多数。