
人間の尊厳と反戦平和を謳う作品で多くの人々に愛読されてきた宮本百合子。文学に描かれた女性の生き方と、その作家の姿勢を歴史の進歩の立場から探究した「婦人と文学」をはじめ、今日でも新鮮な中身を持つ評論七編を収録。さらにジェンダー平等への視点からその先駆性・生命力を明らかにする解説(岩崎明日香)を付す。
目次や構成
目次
- 第一編 新しい女性像・作家像を求めて
- 女性の歴史——文学にそって
- 衣服と婦人の生活——誰がために
- 明日の知性
- アンネット
- 「或る女」についてのノート
- 歴史の落穂——外・漱石・荷風の婦人観にふれて
- 第二編 近代日本の女性作家の歩み
- 婦人と文学
- 前がき
- 藪の鶯 一八八六—一八九六(明治初期一)
- 「清風徐ろに吹来つて」 (明治初期二)
- 短い翼 一八九七—一九〇六(明治三十年代)
- 入り乱れた羽搏き 一九〇七—一九一七(明治四十年代から大正初頭へ)
- 分流 (大正前期)
- この岸辺には 一九一八—一九二三(大正中期)
- ひろい飛沫 一九二三—一九二六(大正末期から昭和へ)
- 合わせ鏡 一九二六—一九三三(昭和初頭)
- 人間の像 一九三四—一九三七(昭和九年以後)
- 嵐の前 一九三七—一九四〇(昭和十二年以降)
- 明日へ 一九四一—一九四七(昭和十六年—二十二年)
- 解説 岩崎明日香
著者情報
宮本百合子
1899〜1951年。作家、思想家。17歳で処女作「貧しき人々の群」を発表。アメリカやソ連に滞在。のちプロレタリア文学運動に参加。宮本顕治と結婚。投獄、弾圧に屈せず、人民の立場にたった文学、婦人運動などに献身、戦後もその先頭に立つ。代表作として「貧しき人々の群」「伸子」「道標」「播州平野」などの他、獄中の夫との往復書簡「十二年の手紙」などがある。

新編 文学にみる女性像
定価2,090円
(本体1,900円)
2021年1月