
原発事故で生活を奪われた人々の、深い痛みと再生を描く
ふくしま 人のものがたり
渡辺一枝
原発事故で生活が一変した、ふくしまの五人の人生に丁寧に向き合い、それぞれの感情の襞奥に分け入って綴られた物語。仮設住宅住民の支援隊リーダー、野球少年から住職になり「半農半僧」生活を目指す人、高らかな笑い声で伝統料理作りをする女性、原発の技術者で裁判原告代表の人、帰宅困難区域の夫婦の人生から、あなたは何を見いだしますか?
目次や構成
目次
- 1 やりたいように、やってきた 大留隆雄さん
- 一 六角支援隊
- 二 大留隆雄さん一代記
- 三 みんな過ぎたこと
- 2 始まりは沢庵和尚 田中徳雲さん
- 一 野球少年がお坊さんになるまで
- 二 それなら自分も虹の戦士に
- 三 原発について学んでいた
- 四 恐れが現実に
- 五 それからの日々で
- 3 飯舘の土に生きて 菅野榮子さん
- 一 小海町で凍み餅作り
- 二 榮子さんが語る自分史
- 三 味噌さえあれば
- 四 放射能の降った世界で生きるとは
- 五 までいな村で
- 六 帰ることに決めた
- 七 帰ってきたら、ここが戦場だ
- 八 そういう人に私はなりたくない
- 九 この自然がある限り
- 4 騙されるな! 怒りをこめて振り返れ 今野寿美雄さん
- 一 振り撒かれる「安全神話」
- 二 飯坂小学校訪問
- 三 3・11、そしてその後
- 四 故郷津島の日々
- 五 そして原子力技術者に
- 六 生活が激変したあの日から
- 七 「子どもは宝物です」
- 八 追記
- 5 乗っ取られた故郷・我が家 関場健治さん・和代さん
- 一 自宅は帰還困難区域
- 二 あの日からの逃避行
- 三 新たな土地で
- 四 津島原発訴訟
- 五 畑仕事を始めた
- 六 賑やかな酒宴
- 七 それからのこと
少し長いあとがきを
著者情報
渡辺一枝
1945年1月、ハルピンで生まれ翌年秋に母と共に日本に引き揚げる。1987年3月までの18年間、東京近郊の保育園、障害児施設で保育士を務め、退職の翌日に初めてのチベット行に出かけて、その後に作家活動に入る。夫は椎名誠さん。主な著書に『桜を恋う人』『時計のない保育園』(ともに情報センター出版局)、『ハルビン回帰紀行』(朝日新聞)、『チベットを馬で行く』(文春文庫)、『消されゆくチベット』(集英社新書)、『チベット』(新日本出版社)ほか多数。

ふくしま 人のものがたり
定価1,980円
(本体1,800円)
2021年2月