
戦後80年を迎えた年、日本の現実を九条をめぐるせめぎあいに焦点をあてえぐり出す。10年前の安保法制で何が変わり日本の社会に何をもたらしているか。30年余の日本政治を憲法の基本原理に照らしどうとらえるか。石破首相の改憲論、核抑止論の神話性、日米同盟の歴史なども含め、骨太に日本の未来を論じた渾身の一冊!
目次や構成
<目次>
- 第1章 憲法政治三十余年の回顧と展望
──二〇二四年総選挙を踏まえて
- 1 激動の三十余年──西暦末尾「九の年」と「四の年」に注目
- 2 岸田政権から石破政権に引き継がれた改憲のバトン
- 3 安倍・菅・岸田政権下で進んだ憲法破壊の政治
- 4 石破首相の危険な改憲構想と安全保障観
- 5 二〇二四年総選挙での与党大敗北と米トランプ政権の誕生
- 6 軍拡・改憲構想のゆくえと私たちの課題
- 第2章 日米軍事同盟の現在と憲法九条
- 1 予備的考察
- 2 7・1閣議決定の意味を問う──それは何を「決めた」のか
- 3 九条をめぐる法と政治をどう見るか
- 4 九条改憲と壊憲への反対運動の準拠点
- 第3章 石破茂の憲法論と安全保障観
- 1 衝撃的なハドソン研への寄稿論文
- 2 さっそく四面楚歌のアジア版NATO構想
- 3 動揺するアジアの安全保障認識
- 4 持論への執着──国家安全保障基本法へのこだわり
- 5 現安保条約(六〇年安保)=「非対称双務条約」という特異な認識
- 6 特異な安保条約認識から無茶な安保・地位協定改定論へ
- 7 あいまいな憲法九条(解釈)論
- 8 「粗削り」な九条改憲論
- 9 集団的自衛権の行使を容認して何をするのか
- 10 石破の学習能力への疑問
- 11 米トランプ政権にどう対峙するのか
- 第4章 「核抑止」論批判の視点
- 1 「核抑止」論の非論理性について
- 2 「核抑止」論の神話性について
- 3 「核抑止」論の誤謬の数々について
- 4 「核抑止」論の非人道性について
- 5 「拡大核抑止」について
- 第5章 日米軍事同盟の歴史的展開
- 1 「同盟による平和」の歴史的位置
- 2 日本国憲法と安保条約
- 3 日米安保の変容と自衛隊海外派兵の進展
- 第6章 戦後八〇年・憲法九条と安保法制──その歴史的検討
- 1 憲法九条の「原点」的意義
- 2 一九五〇年代前半の攻撃と歪曲
- 3 安保法制の成立の経緯
- 4 安保法制の概要──その問題点と矛盾
- 第7章 自民党「改憲四項目」案の問題点と危険性
- 1 九条改憲
- 2 緊急事態条項
- 3 選挙制度・地方公共団体
- 4 教育充実
- 第8章 感染症拡大の緊急事態と憲法
- 1 コロナ禍に向き合う憲法的視点
- 2 自民党の改憲への執念と惨事便乗型改憲論
- 3 新型コロナ感染症対策と緊急事態条項
- 4 緊急事態条項と九条改憲の関係
- 第9章 緊急事態条項改憲論の問題点
- 1 震災と感染症──「戦争の時代」と今を比較する
- 2 改憲論の最近の動向──二〇二二~二三年の国会を振り返って
- 3 「任期延長」論の奇妙な論拠と危険な思惑
- 4 「任期延長」論の真のねらいはどこにあるか?
- 5 「任期延長」論を含め緊急事態条項導入論の本質
- 第10章 戦後八〇年、日米核軍事同盟克服の展望
- 1 「戦後八〇年」における世界の平和・安全保障情勢
- 2 日米核軍事同盟の克服にむけて──本書のとりあえずのむすび
- 補章 「嘆きと悩みのこの世」と医療そして法──東京慈恵会医科大学最終講義(二〇二四年一月一七日)より
- 1 国領校「社会科学」研究室に赴任して
- 2 時代(社会)から挑まれる科学、時代(社会)に挑む科学 ──「社会科学」教育の意義
- 3 社会のなかの医療と法
あとがき
はしがき
著者情報
小沢隆一
1959年生まれ。東京慈恵会医科大学教授。『はじめて学ぶ日本国憲法』(05年、大月書店)ほか。

日米核軍事同盟と憲法9条
定価2,860円
(本体2,600円)
2025年5月