
戦争が終わった年の九月。収穫間近のりんご畑がおそわれた。朝鮮や中国からむりやり連れてこられ、炭坑で働かされていた人びとだった。目をぎらつかせ、赤いりんごにかぶりついていた――。北海道の広大な自然。そこでひたむきに生きた農民が見た戦争のすがた。中国や朝鮮の人びととのふれあいを鮮やかに描いた自伝的絵本。
目次や構成
あとがき
故郷・北海道美唄(びばい)市は、炭鉱地帯として有名でした。戦争中は、強制連行されてきた朝鮮や中国の人びとが過酷な労働を強いられていたのですが、あまり知られていません。日本全体では、中国人、約四万人、朝鮮人、二百数十万人といわれていますが、その歴史的事実さえも忘れられているように思えてなりません。
父は八十九才になりました。元気です。「あの人たち、どうしてるべな」と、いまも北海道弁で語り続けています。
2005.8.15
著者情報
後藤竜二
1943年北海道生まれ。「おかあさん、げんきですか」(ポプラ社)で日本絵本賞大賞&読者賞受賞。作品に「12歳たちの伝説」「紅玉」(新日本出版社)、「1ねん1くみ」シリーズ(ポプラ社)など多数。
高田三郎
1941年北海道生まれ。作品に『蛇の森のいちご』(2011年、日本児童文学者協会北海道支部)、『アンモナイトの夏』(2007年)、『紅玉』(2005年)、『よみがえれ、えりもの森』(2003年)、『やんばるの森がざわめく』(2001年、いずれも新日本出版社)他。

紅玉(こうぎょく)
定価1,540円
(本体1,400円)
2005年9月