
「歴史教科書」問題は終わっていない。その策略と論理の核心に切り込み,明治以来の,戦争につぐ戦争と植民地支配の歴史を徹底的に検証。丹念な資料探究で定評のある著者が,本書で初めて紹介する新資料もまじえて平易に解き明かす。
目次や構成
[目次]
- はじめに
- 一 序にかえて
- 二十一世紀のはじまりに
- 日本国憲法の精神は
- 高まる第九条への評価と期待
- 許してはならない憲法蹂躙の戦争美化
- 二 「歴史教科書」(扶桑社)の立場と特徴
- 戦争に次ぐ戦争の歴史をどうとらえるか
- 明治指導者のイデオロギーに
- 「歴史教科書」のイデオロギーに
- 『新しい公民教科書』と一体でみる
- その手法 ―"事実"を知るのではなく"考え"を知る
- "今日の基準で過去をみるな"と
- 歴史に学び歴史をつくる
- "中国、韓国の圧力"="内政干渉論" ―「つくる会」の姿勢
- 三 戦争につぐ戦争の歴史をふりかえる
- 日本軍最初の出兵は台湾(一八七四年)
- 日清戦争―朝鮮の支配を争った戦争=中国への野望(一八九四〜九五年)
- 義和団鎮圧戦争(一九〇〇年)、中国に駐兵権を認めさす(一九〇一年)
- 日露戦争―双方からの帝国主義戦争(一九〇四年〜〇五年)
- 第一次世界大戦を"天佑"として参加
- シベリア支配をねらった出兵(一九一八年)
- 四 中国侵略の原因を中国の「反日運動」に
- 柳条湖事変=十五年戦争は謀略ではじまった(一九三一年)
- 盧溝橋事件―日中全面戦争(一九三七年)
- 最悪の虐殺事件―「南京事件」そのものに疑問を
- 五 アジア・太平洋戦争―美化でなく反省を教訓を
- 六十年前と同じ記述―アジア・太平洋戦争
- アジア・太平洋戦争も計画的奇襲にはじまる
- アメリカの対日圧迫を強調する「歴史教科書」
- 大東亜共栄圏とは―"侵略を合理化するためのスローガン"
- 太平洋憲章に対抗した「大東亜会議」を肯定的にえがく
- 六 「韓国併合」をどうえがいているか
- 「併合」という用語はなにを意味したか
- 計画的挑発事件で強制した「修好条規」(一八七六年)
- 国王を捕虜同然に―朝鮮王宮軍事占領事件(一八九四年)
- 駐韓公使の使嗾による閔妃暗殺事件
- 韓国従属化の第一歩=「日韓議定書」
- 伊藤博文が直接に保護条約の強要(一九〇五年)
- 皇帝を強制的に退位さす―ハーグ密使事件(一九〇七年)
- 「韓国併合」を強行(一九一〇年)
- 獲物の配分についての協定
- "一部に併合を受け入れる声"とは― 一進会
- 七 植民地支配の反省はない
- 「久保田発言」とウリ二つの記述も
- 民族抹殺の皇民化政策
- 朝鮮人民の闘争と弾圧
- 関東大震災のさいの朝鮮人虐殺
- 八 侵略戦争と植民地支配の美化は、歴史の偽造
- 日本の侵略を"アジア開放をうながした"と美化
- 日本の人種差別撤廃提唱問題
- 朝鮮独立陳情を拒否
- サンフランシスコ講和会議でのアジアの発言
- アジア開放というのなら、日本がやるべきだったことは
- 日本国民の反戦反帝の運動は黙殺できぬ
- 九 戦後の日本と連合国・GHQの対日政策について
- 戦後日本の民主化措置の基本的評価をめぐって
- 「東京裁判」と「歴史教科書」
- 十 「検定合格」と政府の責任
- 「検定合格」は、政府による"お墨付き"
- 国家間の合意、取り決めをふみにじって
- 十一 結び
著者情報
吉岡吉典

史実が示す 日本の侵略と「歴史教科書」
定価2,200円
(本体2,000円)
2002年5月