
戦後60年を機に、明治以降の日本がおし進めたすべての戦争をふり返り、その性格をわかりやすく明らかにした学習のための本。政府関係資料をはじめ貴重な記録の数々から歴史の真実が生々しく浮かび上がり、「侵略」と「違法」に貫かれた過去に現代がどう向き合うのかを問いかける。資料と脚注、用語解説も充実。
目次や構成
- はじめに
- 第1章 「70年戦争」といま
明治以降の戦争をふりかえって- 1 明治のはじめから1945年まで戦争につぐ戦争
- 2 日本の戦争の3つの特徴
- 第2章 維新6年後に最初の出兵
台湾出兵と江華島事件(1874年〜)- 1 「首狩り」もやった台湾出兵
- 2 計画的だった江華島事件
- 第3章 朝鮮をめぐる対立の激化
日清戦争(1894年〜)- 1 朝鮮独立のための戦争という議論
- 2 早くから準備し計画した戦争
- 3 「大東亜共栄圏」の原型ともいうべき構想
- 4 直隷平野作戦計画と南方作戦
- 第4章 外国人民のたたかいに対する干渉戦争
東学農民革命・義兵闘争・義和団の鎮圧- 1 歴史の進歩をおしとどめた東学農民革命鎮圧戦争
- 2 反日義兵闘争に引き継がれた東学農民革命の精神
- 3 中国人民のたたかいを抑圧する
- 第5章 満州・朝鮮の支配を争った帝国主義戦争
日露戦争(1904年〜)- 1 臥薪嘗胆の10年・ひとえに一剣を磨く ― 準備を整えた戦争
- 2 「連戦連勝」した戦争の講和条約に反発した日比谷焼き討ち事件
- 3 戦争の内情は、講和による戦争終結しかなかった
- 4 日露戦争下の朝鮮
- 5 「韓国併合」は「帝国百年の長計」
- 6 日本人民の反戦と朝鮮侵略反対の戦い
- 第6章 中国での権益拡大めざし参戦
第一次世界大戦(1914年〜)- 1 大戦を「天佑」といった日本参戦のねらい
- 2 まとまらなかった日英交渉
- 3 中国への21ヵ条要求
- 4 ロシア革命の圧殺を狙ったシベリア出兵
- 第7章 「戦争は違法」の流れに逆らって
満州事変と中国への全面戦争- 1 戦争の違法化、犯罪化に動き出した世界
- 2 歴史の流れに反し、国際的取り決めを踏みにじる
- 第8章 宣戦布告なき奇襲攻撃による開戦
アジア・太平洋戦争と戦後の原点(1941年〜)- 1 宣戦布告なき奇襲攻撃は、真珠湾だけではなかった
- 2 アジア支配をめざす「大東亜共栄圏」構想
- 3 明治以来の日本の領土拡張の到達点
- 4 靖国史観 ― 日米開戦の責任をアメリカのルーズベルト大統領に転嫁
- 5 戦争の様相 ― アジアと日本の多くの国民が犠牲に
- 第9章 戦争の教訓を生かすのか、それとも逆行か
日本の現在を問う- 1 戦争の教訓を生かす日本への再出発を
- 2 明治以来の、日本の進路をめぐる二つの潮流
- 3 歴史によって実証された進歩と平和・民主主義の潮流
- 4 戦争責任・戦争犯罪問題に関連して
- 5 ポツダム宣言と戦後日本
- 6 国連憲章の平和原則にそってアジアとともに平和と繁栄の道を
- おわりに ― 安倍政権をどう見る
- 「21世紀を核も戦争もない世紀にするためには、過去の歴史、とりわけ戦争の歴史を振り返り、恒久平和をめざす世界と人類の歴史の到達点をはっきり認識し、教訓を生かすことが重要です。」(本書「おわりに」から)
著者情報
吉岡吉典

総点検 日本の戦争はなんだったか
定価1,760円
(本体1,600円)
2007年4月