
より深く子どもの心をつかむ児童文学とは
子どもと本の明日 魅力ある児童文学を探る
日本児童文学者協会=編 古田足日=編集代表
「子どもの読書離れ」がいわれる今日,子どもたちの心をつかむ児童文学はどのようにしたら生み出せるのか。時代を批判し,時代を形成していく作品を,子どもたちをもっとわくわくさせる感動を――書き手たちが探る現代児童文学の可能性。
目次や構成
- はじめに なぜこの本をつくるか−魅力ある児童文学を求めて−
- 第一章 子どもに向かって書く、とはどういうことか 古田足日
- 一 子どもに向かって書くことと自己表現 古田足日
−自分をふりかえりながら、自己表現・自己形成と子ども感覚、さらに児童文学の今後を考える−
- 出発点となった問題−三つの現場から
- 児童文学と自己表現−内的動機の追求
- 児童文学創作の二本の心棒−ことに子ども感覚
- 子どもへの態度、表現の方法
- ぼくにとっての?魅力ある児童文学″を中心に
- 今後を考える−児童文学のカ
- 二 作者の子ども像と対子ども読者意識 宮川健郎
- 「対子ども読者意識」とは?
- 音読する子ども、黙読する子ども
- 「二人称小説」である必要
- 「子ども」という鏡
- (コラム)
変形しながら届くとき 今関信子 子どもの関心と作者の書きたいものと 奥山 恵 声を聞く −「12歳たちの伝説」シリーズの場合 後藤竜二 子どもの関心と作者の書きたいものとのズレ 芹沢清実
- 一 子どもに向かって書くことと自己表現 古田足日
- 第二章 「おもしろさ」とは何か
- 一 子どもにとってのおもしろさとは 加藤純子
- 物語を読みつがせる力
- エンターテインメントの手法
- 児童文学における普遍性
- インターネットから見えるおもしろさ
- おもしろさの課題
- 二 読むということについて 石井直人
- 読書の問題
- 理想の読者と実際の読者
- 子どもという読者
- エンターテインメントの読書
- (コラム)
「おもしろさ」を語るって? あさのあつこ 私にとっての「おもしろさ」 砂田 弘 「おもしろい」と思うとき 平湯克子 とどのつまりは 最上一平
- 一 子どもにとってのおもしろさとは 加藤純子
- 第三章 子どもに向かって書く表現の方法・技術について
- 一 子どもに語る方法・技術・話の進め方 那須正幹
- 子どもに語るということ
- 主人公の大切さ
- 作品世界へのいざない
- 登場人物とストーリーの関係
- 新しい児童文学の創造
- 二 エンターテインメント児童文学の創作方法 川北亮司
- 芸術的児童文学と大衆的児童文学
- 登場人物とキャラクター
- エンターテインメントとアミューズメント
- 三 現代児童文学の系譜を「方法」から考えてみる
あるいは、日本の児童文学にとっての「方法」 藤田のぼる- 児童文学にとっての「方法」とは
- 現代児童文学における三つの方法的系譜
- 「方法」が力を持つ時と持たない時
- 四 ことばによる物語・ことばだけによらない物語 村中李衣
- はじめに
- 語り手の存在感
- 会話の存在感
- おわりに
- 五 マルチメディア時代における児童文学の変容 目黒 強
- 問題の所在
- 物語消費の時代
- キャラクター小説の方法論
- 児童文学の変容
- 一 子どもに語る方法・技術・話の進め方 那須正幹
- 第四章 子どもと本をどうつなぐか
- 一 本と出会う現場から 真鍋和子
- 読書のおもしろさとは?
- 戦争・平和の本を読み合う
- 二 親子読書運動三十年
−子どもと本との関わりを見つめて− 広瀬恒子- 読書運動とは
- つなぎ手としてわたしの出発点
- 七〇年代末〜ハ○年代へ
- 九〇年代へ
- 読書運動の明日
- 一 本と出会う現場から 真鍋和子
著者情報
日本児童文学者協会
児童文学の作家、詩人、翻訳家、評論家、研究者などで構成されている文学運動団体。1946年創立。会員数は約九五〇名で、全国すべての都道府県に在籍している。また北海道から九州まで、21の支部があり、独自の活動を展開している。会の活動は、著作権や研究活動など主に会員に向けた活動のほかに,児童文学に関心を持つ方たち、児童文学の創作をめざす人たちなどに向けて、各種の講座や出版活動など幅広く行われている。
古田足日

子どもと本の明日 魅力ある児童文学を探る
定価2,420円
(本体2,200円)
2003年7月