
日本映画の再生めざし奔走する著者の最新評論集!
日本映画の歴史と現代
山田和夫=著
日本現代史を偽造する映画「プライド」への批判論文や貴重な戦前の前進座出演時代劇映画史をはじめ,山本・黒澤らの映画作家論,「阿弥陀堂だより」など最近の話題作の作品論までの力作映画評論を集大成。その他,理論探究「映画と資本論」。
目次や構成
- 序章 たたかってこそ、日本映画の再生へ
―フランス映画人の歴史に学んで― - 第I章 日本映画史の軌跡
- 1 日本映画史から見た歴史の真実
- 日本映画は戦争をどう描いてきたか―侵略と加害を告発した軌跡
- 日本映画史のなかの天皇
- 日本映画史は正しく語られているか―大島渚「日本映画の一〇〇年」などをめぐって
- 侵略と加害を否定した「プライド」
- 山根貞男の「プライド」擁護論に答える
- 歴史偽造の「教科書」映画版「ムルデカ17805」を見て
- なぜいま「宣戦布告」なのか?―有事法制の促進と有事=戦争の挑発
- 2 作品創造と上映運動の足跡
- 前進座映画史おぼえ書き
- 映画センター運動の30年から―その原点と理念は何か?
- 1 日本映画史から見た歴史の真実
- 第II章 作家と作品―受けつがれた伝統と新しい可能性
- 1 回想の映画人
- 「映画は大衆のもの」の信念を貫く―追悼・山本薩夫監督
- 今井正監督の人と芸術に学ぶ
- 「男はつらいよ」の27年―渥美清=山田洋次が語ってきたこと
- 映像のダイナミズムに輝いた個性―「世界のミフネ」のたどった道
- 黒澤明・人と芸術の軌跡
- 映画とともにいつまでも―淀川長治さん、ありがとう
- 生涯を貫いた平和への意志と情熱―木下恵介監督
- 2 人間の可能性を撮る
- もう一つのリアリストの顔―新藤兼人さんと独立プロ運動
- 新しいたたかう農民像を活写した快作―神山征二郎監督「郡上一揆」
- 「特攻」の真実に迫る映画「ホタル」(降旗康男監督)―「加害」に踏み込む映画人の良心
- すばらしい人間の可能性をうたう―老人介護を描く松井久子監督「折り梅」
- 時代劇リアリズムの伝統継ぐ―「たそがれ清兵衛」山田洋次監督の挑戦
- 自然と人間の映像的森林浴―小泉堯史監督の「阿弥陀堂だより」
- 3 記録映画の秀作から
- 事実で迫る記録映画の本道―「人として生きる」(片桐直樹監督)「平塚らいてうの生涯」(羽田澄子監督)
- 「住井すゑ 百歳の人間宣言」(橘祐典監督)―類い稀な魅力と不屈の信念を伝える
- 4 世界に飛翔した日本のアニメ
- 新記録を立てた「もののけ姫」―宮崎駿アニメのテーマと表現を考える
- 高畑アニメの新しい冒険と挑戦―「ホーホケキョ となりの山田くん」
- 宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」―すぐれた造型、魅力的なキャラクターによる傑作
- 長編アニメ「えっちゃんのせんそう」(有原誠治監督)―七歳の少女の目が伝える戦争の真実
- 自分の力で歩み出す少女のさわやかさ―ジブリアニメの新作「猫の恩返し」など
- 1 回想の映画人
- 第III章 日本映画再生の展望
- 日本映画産業の自立と再生は可能か―「危機」の実態に迫る
- 日本映画の再生をめざすたたかい―松竹大船闘争の到達点と教訓
- 日米映画界の真の友好関係は可能か
- 第IV章 映画の理論的探究
- 芸術はいったい誰のものか―資本の論理と人間と論理・メセナ<企業の文化支援>を考える
- 映画と『資本論』
- 今村太平氏の氏を悼む
- 映像の本質追求が貫く―書評・今村太平著『映画の眼―文字から映像の文化へ』
- 「資本論」の素養が生きる面白さ―<書架散策>今村太平著『漫画映画論』
- あとがき
- 初出一覧 巻末
- 本書に登場する邦画作品データ一覧 巻末
- 人名索引 巻末
著者情報
山田和夫

日本映画の歴史と現代
定価4,070円
(本体3,700円)
2003年8月