
市場価格を決めるといわれる、需要曲線も供給曲線も「架空の曲線」? では、何によって決まるのか? はたまた、「異常な円高」など、円が高いとか安いとかは、何によって決まるのかなど、現実経済の今日的問題を『資本論』の基礎的な見方から読み解いたユニークな解説書。マルクスが明らかにした価値概念の理解にも、新しい光をあてる。
目次や構成
- 第1章 市場万能主義と社会進歩
―需要・供給曲線の問題点から考える―
- (1)需要・供給曲線の問題点
- (2)価格を決めるものと需要・供給
- (3)社会進歩と市場経済との関係
- (4)市場の機能と民主的規制の必然性
- 第2章 経済の民主的改革とは
- (1)国民生活をまもり向上させる
- (2)民主的規制は戦略的意義をもつ
- 第3章 経済成長と価値
―討論「国民所得は価値か使用価値か」―
- 書簡による討論の経過
- 最初の問題提起「経済成長とは使用価値量の増大ではないか」
- 最初の返答「現行の国民所得は生産物量概念である」
- 2回目の返答「国民所得はやはり価値である
- 2回目の返答への疑問「一物一価の論理を無限定に適用すると労働価値説が破れるのではないか」
- 疑問への再返答「価値を生産物から切り離して労働量そのものと捉えるのは誤りである」
- やはり納得できない「競争関係にない生産物どうしに一物一価は適用されない」
- 討論の整理「異なる時点間の国民所得・価値把握のための基礎論点」
- 第4章 為替レートは何によって決まるか
―円高と新・購買力平価説―
- (1)論文「為替レートは何によって決まるか」の企図
- (2)外国為替市場(外貨市場)と為替レート(外貨の価値)
- (3)外国為替レートの基準値(外貨の価値)は何か
- (4)外貨の需給と経常収支
- (5)貿易購買力平価(外貨の価値)による為替レート(外貨の価格)の規制
- (6)補論
- 第5章 サービス生産をどう理解するか
- (1)サービス生産と価値
- (2)サービス生産と再生産表式
著者情報
川上則道
1943年生まれ。都留文科大学名誉教授。主な著書に、『日本経済はどう変わるか』(共著、1977年、東研)、『国民所得論再入門』(1984年、時潮社)、『高齢化社会は本当に危機か』(共著、1989年、あけび書房。第15回野呂栄太郎賞受賞)、『「資本論」の教室』(1997年)、『「資本論」で読み解く現代経済のテーマ』(2004年)、『マルクスに立ちケインズを知る』(2009年)〔以上、新日本出版社〕など。

『資本論』で読み解く現代経済のテーマ
定価1,870円
(本体1,700円)
2004年5月