
没後八〇年を迎えた芥川龍之介。中国語版『芥川龍之介全集』や英語の新訳選集が刊行されるなど、芥川は世界各国で注目され、再発見されようとしている。芥川文学の何が世界の人々の関心を引きつけるのか。「忠義」「地獄変」「戯作三昧」などテクストの新しい〈読み〉で解きあかす。前著『芥川龍之介の歴史認識』の姉妹編
目次や構成
〔目次〕
- 序章 二十一世紀の芥川研究
- 内外で注目される芥川文学
- ペンギン古典叢書に登場した芥川
- 中国における芥川研究
- 韓国における芥川研究
- 第 I 章 なぜ木曾義仲か ―「義仲論」
- 1 河合榮治郎の「項羽論」
- 2 「項羽論」への挑戦
- 3 歴史と漢文の力
- 4 「野生の児」へのあこがれ
- 第II章 近代的人間の模索 ―「忠義」
- 1 草稿「主従」と典拠
- 2 神経衰弱
- 3 二人の家老
- 4 孤独と寂寥
- 第III章 「寂しさ」への問い ―「或日の大石内蔵之助」
- 1 忠臣蔵への関心
- 2 大石最後の一日
- 3 芥川の新解釈
- 4 寂しさの内実
- 第IV章 自己確立のドラマ ―「戯作三昧」
- 1 馬琴像に託すもの
- 2 虚構の中での自己表現
- 3 新進作家芥川への風当たり
- 4 自己確立の闘い
- 第V章 人生のしたたかな眼 ―「首が落ちた話」
- 1 何小二の受難
- 2 反戦の叫び
- 3 みじめな生存
- 4 人間の悪魔性、不条理な世界
- 第VI章 芸術と人生 ―「地獄変」
- 1 「地獄変」への道
- 2 超人大殿と天才絵師
- 3 芸術と人生
- 4 良秀の闘い
- 第VII章 自由への遁走 ―「馬の脚」
- 1 空想劇
- 2 理性の超克
- 3 変身譚と典拠
- 4 <馬の脚>とは何か
- 第VIII章 芥川の中国旅行記 ―『支那游記』
- 1 新世紀中国における芥川
- 2 構成と「自序」
- 3 上海の印象
- 4 三文人との会見
- 5 現代中国批判
- 6 長沙、および北京の印象
- あとがき
- 初出一覧
- 索引
著者情報
関口安義
1935年埼玉県生まれ、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。都留文科大学教授、文教大学教授を歴任。主な著書に『芥川龍之介』(岩波新書、1995)、『芥川龍之介とその時代』(筑摩書房、1999)、『芥川龍之介の歴史認識』(新日本出版社、2004)、『キューポラのある街 評伝早船ちよ』(新日本出版社、2006)、『世界文学としての芥川龍之介』(新日本出版社、2007)、『評伝 矢内原忠雄』(新教出版社、2019)ほか多数

世界文学としての芥川龍之介
定価2,200円
(本体2,000円)
2007年6月