
太平洋戦争末期、秋田の鉱山で起きた「花岡事件」を主題にした戯曲「釈迦内柩唄」が、いま再び、著者水上勉氏のオリジナル装丁で甦る。戦争というものの残忍さと人間の尊厳を、火葬を生業(なりわい・ルビ)とする一家のつましい生活のなかに描き出した表題作のほか、この作品にこめた作者の思いを綴った三つの文章と、著者自らが編纂した「花岡事件」資料を付す。
目次や構成
〔目次〕
- 戯曲 釈迦内柩唄
- 『釈迦内柩唄』をなぜ書いたか。
- そして、なぜいま花岡なのか。
- 演出ノート
- 『釈迦内柩唄』の上演に想う 尾崎陞
- 秋田県につたわるかぞえ歌
- ならびに花づくし歌
花岡事件を中心とする中国人・朝鮮人強制連行事件関係資料
あとがき
著者情報
水上勉
1919年〜2004年。福井県出身。12歳で相国寺塔頭瑞春院の得度式を受けた後、37回の転職後、『フライパンの歌』で作家デビュー。直木賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、川端康成文学賞、毎日芸術賞、日本芸術院恩賜賞など受賞多数。直木賞選考委員、芥川賞選考委員など歴任。主な著書 『水上勉全集 全26巻』『新編 水上勉全集 全16巻』『兵卒のたてがみ』(吉川英治文学賞受賞)『城』(文藝春秋読者賞)『古河力作の生涯』『釈迦内柩唄』『一滴の力水』(不破哲三氏との対談集)『同じ世代を生きて 水上勉・不破哲三往復書簡』など多数。

釈迦内柩唄
定価1,650円
(本体1,500円)
2007年9月