
農民の苦しみと一揆を描く2作品を収録。江戸前期の若狭を舞台に、画(え)に描いたような苛酷さと理不尽さ、そして息詰まる抵抗闘争を活写する「城」。天明の飢饉地獄に決起した越後農民と、時を同じく生きた良寛の生涯を描いた「蓑笠(さりゅう)の人」。水上文学の新鉱脈に光を当てた『日本の戦争』に続き、不破哲三編集がさらに冴える。
著者情報
水上勉
1919年〜2004年。福井県出身。12歳で相国寺塔頭瑞春院の得度式を受けた後、37回の転職後、『フライパンの歌』で作家デビュー。直木賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、川端康成文学賞、毎日芸術賞、日本芸術院恩賜賞など受賞多数。直木賞選考委員、芥川賞選考委員など歴任。主な著書 『水上勉全集 全26巻』『新編 水上勉全集 全16巻』『兵卒のたてがみ』(吉川英治文学賞受賞)『城』(文藝春秋読者賞)『古河力作の生涯』『釈迦内柩唄』『一滴の力水』(不破哲三氏との対談集)『同じ世代を生きて 水上勉・不破哲三往復書簡』など多数。

水上勉作品集 城/蓑笠の人
定価1,760円
(本体1,600円)
2008年6月