
日本の戦争について深い思いを持ち、多くの作品に独特の筆致で表現してきた人、水上勉。その水上文学の底流から、同じ世代を生きた“心友”だからこそ引き出し得た、新機軸の作品集。日本軍隊の本質を否応いわせぬ迫力で描き出した名作「兵卒のたてがみ」(吉川英治文学賞受賞)のほか、自身の戦争体験から紡がれた六作品を収録する。
目次や構成
〔目次〕
- 編集者のまえがき―不破哲三
- 比良の満月
- 小孩(しょうはい)
- 馬の話
- リヤカーを曳いて
- 石屋の音
- 戦争を呪う今日を生きる―欺瞞の過去に感慨無量
- 兵卒の●(たてがみ)
- 『兵卒の●(たてがみ)』について
- 『兵卒の●(たてがみ)』のこと
- あとがき(全集版)
- あとがき(文庫版)
*●「髟(かみがしら・かみかんむり)」に「宗」
著者情報
水上勉
1919年〜2004年。福井県出身。12歳で相国寺塔頭瑞春院の得度式を受けた後、37回の転職後、『フライパンの歌』で作家デビュー。直木賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、川端康成文学賞、毎日芸術賞、日本芸術院恩賜賞など受賞多数。直木賞選考委員、芥川賞選考委員など歴任。主な著書 『水上勉全集 全26巻』『新編 水上勉全集 全16巻』『兵卒のたてがみ』(吉川英治文学賞受賞)『城』(文藝春秋読者賞)『古河力作の生涯』『釈迦内柩唄』『一滴の力水』(不破哲三氏との対談集)『同じ世代を生きて 水上勉・不破哲三往復書簡』など多数。

水上勉作品集 日本の戦争
定価1,980円
(本体1,800円)
2008年2月