
殺し殺される兵士たち、犠牲になる市民と子ども、続く負の遺産――世界を取材してきた著者が、今あえてその仕事を集大成する。ベトナム戦争はもちろん、未発表写真の多いボスニア、ソマリア、沖縄の基地と日本の戦跡…。日本を「戦争のできる国」にしようとする動きの中、240枚以上の写真が反戦を強烈に訴える。オールカラー。
目次や構成
〔目次〕
- ベトナム
- ラオス
- カンボジア
- ボスニア・ヘルツェゴビナ
- ソマリア
- アフガニスタン
- 沖縄・アメリカ軍基地
- 日本の戦争、その後
- 基地を奪い返したフィリピン
- 命(ぬち)どぅ宝
「あとがき」より
- 戦争に関する取材をしていて、沖縄の言葉「命どぅ宝」をいつも思い出しました。生きていればいろいろなことが体験できます。つらいこともあるけども、喜びも多い。戦争は、いろんな夢や希望を持った子どもたちの命を奪います。私たちは、子どもたちが平和の中で成長していける環境をつくる責任があると思います。世界の平和を築き、戦争を防ぐためには、戦争の実態を知り、その悲劇を想像することが大切と思っています。本書がそのために役立つことを願っています。
著者情報
石川文洋
報道写真家。1938年、沖縄県生まれ。1965年1月から1968年12月まで、フリーカメラマンとして南ベトナムの首都サイゴン(当時)に滞在しベトナム戦争を取材。1969年から1984年まで朝日新聞社に勤務。その後フリーに。著作に、『写真記録ベトナム戦争』(金曜日)、『戦場カメラマン』『報道カメラマン』(朝日文庫)、『死んだらいけない』(日本経済新聞社)、『日本縦断 徒歩の旅 65歳の挑戦』(岩波新書)など。日本写真協会年度賞(1973年)、日本雑誌写真記者協会賞(1982年・1983年)、日本ジャーナリスト会議特別賞(1990年)、ベトナム政府より文化通信事業功労賞(2005年)など受賞多数。