
大学の教職か、詩人か? 生涯の職業選択を前にマルクスは深く思い悩んでいた。同じ頃、父の厳命で家業を継ぐことを迫られ、意に沿わぬままイギリスへ旅立たねばぬエンゲルス。革命の波にゆれるヨーロッパを舞台に、科学的社会主義の創始者たちが、人間が人間らしく生きるために、どのように生き方を定め、思想を形成していったかを描く。
目次や構成
〔主な目次〕
- 第一章 人間を変える大いなる実験
- 新天地をもとめて
- 青年の夢
- 新しいこころみ
- 人びとを幸せにする社会
- ともされた理想社会の火
- 夢やぶれる
- 第二章 明日をひらく若ものたち
- 1 自由をめざしジークフリートのように生きたい
- 2 世のためにつくす道
- 3 巨人プロメテウスの英知
- 第三章 理想社会実現の探求
- 1 多彩な友のなかで
- 2 これが社会の法則だ
- 3 新社会樹立のたたかいに立つ!
- あとがき
- 関連年表
「あとがき」より
- 「人間が人間らしく生きるには、人間は自由であることがまずもって必要です。言論出版表現の自由や、思想信条学問の自由、だれの干渉や圧迫もうけずに選挙権を行使して政治に参加する自由、団結や結社の自由などの獲得、つまり、民主主義的権利の確立と徹底実現がなければ、それらの権利が抑圧され、剥奪されるならば、人間的な生活の形成や、人間の人格や能力の開花などは望みえないでしょう。
- それらの自由と民主主義の獲得をめざしてたたかい、万人が自由である社会を実現するために情熱をふりしぼる若者たちーーこの本は、その生きた生ま身の姿をさぐろうとしたものです。この世に生を享けて以来、「自分はなんのために生まれてきたのだろう」とふとでも考えてみなかった人は皆無といっていいでしょう。その「なんのために」を考えるよすがになりえたら、というのが筆者のほのかな望みです。
著者情報
土屋保男
1915~1991年。経済学者。山形県大石田町に生まれた。主な著書に『革命家マルクス』(1967年)『フリードリヒ・エンゲルス』(69年)『マルクスへの旅』(84年)〔いずれも新日本出版社刊〕がある。また主な訳書には『マルクス=エンゲルス全集』(1959~81年、大月書店)の翻訳と統一作業、『マルクス 資本論』(82~89年、新日本出版社)の編集・統一作業がある。

マルクス エンゲルスの青年時代
定価1,760円
(本体1,600円)
2011年11月