
日本海に面する過疎の町を襲った原発建設計画。電力会社の仕掛ける札束攻勢に、推進派は地元経済の活性化を願い、反対派は安全性に不安を抱く。二分される住民、ギクシャクする家族。葛藤は30年以上も続く――。新潟県巻町の実話をもとに、渦巻く人間模様を陰影深く小説に描いたジェームス三木の筆が冴える! 同名の映画も全国各地で上映中。
目次や構成
〔目次〕
- 1 偽装工作
- 2 用地買収
- 3 補償金
- 4 紆余曲折
- 5 折り鶴
- 6 住民投票
- 7 ハンカチの木
- 8 子孫たちへ
- あとがき
- 子孫たちよ。我々の世代は、人類史上最悪のバトンを君たちに渡そうとしている。……人類の歴史に、ピリオドを打ちたくなければ、君たちの手で、バトンの色を塗り替えてもらいたい。(「あとがき」より)
著者情報
ジェームス三木
1935年、満州奉天市生まれ。1953年俳優座養成所入所、以後テイチク専属歌手などを経て脚本家。85年NHK連続テレビ小説『澪つくし』で視聴率55%を記録。日本文芸大賞脚本賞(86年)、NHK放送文化賞(99年)など受賞多数。テレビ脚本には「独眼竜正宗」「八代将軍吉宗」「葵徳川三代」(いずれもNHK大河ドラマ)など多くあり、主な著書に小説では『澪つくし』(1985年、実業之日本社)、『翼をください』(88年、徳間書店)、『憲法はまだか』02年、角川書店)など、エッセイでは『ヤバイ伝』(2000年、新潮社)、『ドラマと人生』(08年、社会評論社)など数多い。

渡されたバトン
定価1,362円
(本体1,238円)
2013年4月