「せりふ」が観客をも巻き込むような力をもつと「劇ことば」になる。日本語の豊かな力を信じ、笑えて泣ける、生きる希望を紡ぎ出す芝居をつくり続けた井上ひさし。生前親交の深かった著者が、デビュー作から遺作「組曲虐殺」まで、70作にも及ぶ戯曲から厳選し、井上ひさしの歴史のなかで劇ことばの成長発展を読み解く。
目次や構成
【目次】
- 第1章 井上ひさしとの出会い
- 第2章 『藪原検校』――ことばの凄み
- 第3章 シェイクスピアとのチャンバラ
- 第4章 『頭痛肩こり樋口一葉』――ことばは想像力に乗って
- 第5章 「昭和庶民伝三部作」――ことばの落ち着き
- 第6章 「東京裁判三部作」――〝巨大な山〟は踏み越えられたか
- 第7章 『父と暮せば』『組曲虐殺』――ことばとテーマの一致
- 第8章 私の好きな劇ことば・せりふ
著者情報
小田島雄志
1930年生まれ。東京大学名誉教授、東京芸術劇場名誉館長。著書に『ことばの魔術師井上ひさし』(共著2013年、岩波書店)、『ぼくは人生の観客です』(2012年、日本経済新聞社)、『シェイクスピアの恋愛学』(2010年、新日本出版社)、『シェイクスピアの戦争・平和学』(2008年、同)、『シェイクスピアの人間学』(2007年、同)など。
井上ひさしの劇ことば
定価1,540円
(本体1,400円)
2014年9月