
「戦後」日本で、再び「海外で戦争する国」につくりかえる「戦争法案」が強行されようとしている。本当に日本は先の戦争を終わらせているのだろうか。日清戦争からベトナム戦争まで、日本が関わった戦争とその終わらせ方、世界は「次の戦争」を止めるために何をしてきたのか、を歴史的に検証し日本の進路を考える。
目次や構成
*目 次 プロローグ 現代日本の歴史認識――その問題点 7 1 日清戦争はどう終わらせたのか――日本社会と植民地支配 13 日清戦争の始まり 14/四種類の戦争という構造 20 七月二三日戦争・甲午農民戦争・台湾征服戦争 21/伊藤さん、あなたは 23 変わる日清関係 24/朝鮮の改革は日本の手で 26 三国干渉来たる 29/御前会議の審議・決定と発表 31 三国干渉後の対朝鮮政策 35/朝鮮問題の解決策 37 変わる日本社会 39/朝鮮文化と戦前日本社会 40 清・中国と日本 41 2 義和団戦争の終わらせ方――清国・アメリカ・日本 43 清国の焦り 44/過酷な講和条件と第六条のその後 45 先駆けのアメリカ 47/アメリカを追う列強 49 最終ランナーの日本 50/「中国賠償金」問題の終着点 52 3 日露戦争の終わらせ方――帝国の縄張りと消失 53 満州・韓国をめぐる日本とロシア 54/開戦へ踏み切る 55 正戦論の横行 56/日露戦争の推移 58 日本軍の限界だった日露戦争末期 61/ポーツマス条約の調印 63 ポーツマス条約と清国の承認条項 64/鉄道守備隊の虚実 65 清国との協議 68/ポーツマス会議で何を決めていたのか 71 大陸への利権の拡大 74/日露、帝国の蜜月とその終わり 75 日露戦争が遺したこと 77 4 第一次世界大戦の終わらせ方――英米仏と日本 79 欧州戦争から世界戦争へ 80 /膨大な被害者たち 81 世界戦争が終わった日 82/社会主義ロシアの新提案=無併合・無賠償 83 ウィルソン大統領「国際連盟が必要だ」 84/主導権は五大国に、消極的な日本政府 85 国際連盟設置の提案 87/日本は国際連盟に留保 89 予想外の「万国労働法制」提案 92/狼狽する日本政府代表団 94 欧米に不評な日本代表団 96/パリ講和会議への日本政府の準備 97 国際紛争の解決法 99/日本国憲法九条に引き継がれる 102 ヴェルサイユ平和条約の弱点 103/ヴェルサイユ平和条約第一三編の意義 104 連合国もしばるヴェルサイユ平和条約 106/植民地を放棄できなかった国際社会 108 中国とドイツの戦後 110/ヴェルサイユ平和条約とその後の平和希求 111 5 十五年戦争とアジア太平洋戦争の始まりと終わり方 115 十五年戦争という考え方 116/アジア太平洋戦争の始まり 119 「八月一五日」の意味 121/連合国の戦後構想 122 連合国による戦後への準備 127/戦後平和をめざして 131 日本とアジアの戦後を決めた三つの宣言・協定 135/三つの宣言・協定の「想定外」 138 日本の軍部が夢想していた「戦後」 138/異なった戦後を歩んだ日本とドイツ 141 沖縄を裏切った講和 143/アメリカの戦略に基づく対日講和問題 144 6 朝鮮戦争はまだ終わっていない――植民地支配の記憶 153 朝鮮で戦争が始まった 154/朝鮮戦争の参加国日本 157 朝鮮戦争と反戦運動 159/誰も得をしなかった朝鮮戦争 161 植民地支配の記憶と責任 162 7 ヴェトナム戦争と日本――アメリカの戦略に従う日本 165 日本は関わりがない? 166/アメリカの外交戦略と旧宗主国フランスという枠 168 アメリカの原爆使用計画と北爆 172/地上戦闘部隊の強化と韓国軍 173 日韓会談はなぜ急転直下まとまったのか 175/日本も「対岸の火事」ではなかった 177 ヴェトナム戦争で沖縄の価値が増幅された 178/ヴェトナム戦争の終結 178 ヴェトナム戦争の終わらせ方の意味 180 8 一九四五年以後の日本を捉え直す――戦後平和の意義 185 「戦争」を軸に戦後史を再考する 186/軍事同盟のあり方が変わった 189 「テロとの戦争」はあり得るか 192 エピローグ 戦争を始めさせないために――歴史を直視することの意味 195 参考文献 201 あとがき 205
著者情報
原田敬一
1948年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了、佛教大学歴史学部教授。著書に『日本近代都市研究』『国民軍の神話――兵士になるということ』『帝国議会 誕生』『日清・日露戦争』ほか。

「戦争」の終わらせ方
定価1,760円
(本体1,600円)
2015年7月