
多感な時代に社会・政治をどう学び、どんな力を身につけるのか――模索の中で貴重な成果を生み出してきた実践や教師の工夫、この国が様々な問題を抱える中で子どもたちがどんな目を社会に向けているのかも含め紹介する。教育の「中立」の名で学校に介入する政府の問題点、真の「教育の中立性」とは何なのかも解明した労作!
目次や構成
目次 はじめに 第1部 一八歳選挙権と教育の政治的中立性 第1章 高校生の政治学習と「教育の政治的中立性」 ――政治学習・憲法学習の新たな展開に向けて 一 「教育の政治的中立性」の二つの規範 二 生徒の権利としての「政治学習」の基本性質 三 主権者形成と生徒の自治と政治活動について 四 教師の責務と専門性の役割 第2章 一八歳選挙権と教育実践の課題 ――すべての生徒に主権者教育を 一 総務省の主権者教育論と国際的な動向 二 高校生の政治的活動をめぐる政策の経過と問題点 三 世界的な若者の社会離れ 四 学校における主権者教育のとりくみ 第3章 高校生の政治学習・政治活動、「新通知」批判 一 旧通達から新通知へ 二 教育への権力的介入と新通知 三 高校生の基本的人権と新通知 第2部 政治学習を切り拓く実践から 第4章 一八歳選挙権と模擬選挙 ――模擬選挙の課題と今後の主権者教育の展望 一 これまでの模擬選挙の概観 二 模擬選挙の課題 三 模擬選挙からスタートしない方法 第5章 「有権者教育」ではなく主権者教育を ――人権としての政治参加の学習 一 「選挙啓発出前講座」に手を挙げる 二 政治教育と権利教育の再構成 三 日本型「アクティブ・ラーニング」への誘導を超えて 第6章 憲法改正を考える授業のつくり方 ――立憲主義に立った主権者を育てるために 一 政治教育とそれへの権力からのまなざし 二 憲法改正問題を生徒の思考を深めるアクティブな学びに 三 憲法改正問題の模擬国民投票の授業の流れ 第7章 生徒どうしの討論空間をつくる ――一八歳選挙権のもとで求められる「市民性」を育てる 一 一八歳選挙権のもとで求められる学び 二 主権者を育てる自治活動 三 「9・11」をめぐるアメリカや日本の政策を批判的に学ぶ 四 歴史学習と紙上討論で政治的に判断する 第8章 貧困と福祉学習 ――「私」の価値を育む社会科教育を 一 一八歳選挙権が降ってきた! 二 ○か×か、正解か不正解かを求めていないか 三 劇場型選挙で失われつつある民主主義 四 選挙は「教師が用意したメニュー」で選ばせることではない 五 あなたは立派な有権者です 六 民主主義を教えるために 七 「自分ごと」として考え「自分は」を追求する思考を 第9章 僕の“政治の授業”はどうだったろうか? ――選択講座『政治・経済演習』を受講した卒業生との対話 一 印象に残った「辺野古基地建設」問題 二 少数派や反論を丁寧に扱えたか 三 「安心の意見表明」と社会認識の深化 四 自分の意見を持つこと、自分を問うこと 第3部 教育実践をいかに進めるか 第10章 「教育の中立性」批判と真理探究の実践の正統化 ――「真理の代理人」としての教師論を手がかりにして 一 「中立性」なるものが意味するもの 二 「真理の代理人」から「真理の発見を手助けする専門家」へ 三 真理探究の実践を正統化する理論 第11章 授業における中立性と公正さ ――憲法的原則と教育の原則 一 中立と公正 二 学校という一致点 三 目標像と教育内容の偏り 四 論争的テーマの教授学 第12章 教科書と教育の政治的中立 ――「学界の共有財産」と教師の専門性 一 「学界の共有財産論」を原点に 二 教育実践のプリズム 第13章 憲法的正義の継承と立憲主義の学習を土台に ――「憲法改正論争事態」と教育の責任 一 立憲主義という到達点をしっかり認識すること 二 「憲法改正論争事態」の中での憲法学習の構造 三 憲法的正義の継承と「中立」の意味 四 学習に民主主義を貫く
著者情報
佐貫浩
1946年兵庫県生まれ。法政大教授。教育科学研究会委員長。『危機のなかの教育』(2012年、新日本出版社)、『品川の学校で何が起こっているのか』(2010年、花伝社)、『これでいいのか小中一貫校』(2010年、新日本出版社)、『学力と新自由主義』(2009年、大月書店)、『「自由主義史観」批判と平和教育の方法』(1999年、新日本出版社)。

18歳選挙権時代の主権者教育を創る 憲法を自分の力に
定価2,640円
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2016年6月
教育科学研究会
教育科学研究会=第二次世界大戦以前に結成され、大戦中に中断。1952年再建。憲法・教育基本法の理念を実現すべく、実践・研究運動を進めている団体。

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