
貧しさからの脱出を夢みてアメリカに渡った「移民の子」=野田英夫。その後、人並みの教育をと父母の郷里・熊本に預けられ、再び画家を志し単身渡米した18歳の英夫。アメリカ共産党にも入党し、「民衆の中から新しい世界」を目指した、この日系画家に力強く息づいていたものとは──。無類の明るさを持った画家の魂に迫る、著者渾身の評伝小説。
目次や構成
序章 湖の光 一章 出 生 二章 火の国 三章 帰 米 四章 仏 教 五章 青 春 六章 森の精 七章 都 会 八章 祖 国 九章 郷 愁 十章 蜜 月 十一章 連 帯 十二章 活 動 十三章 池 袋 十四章 帰 路 終章 その死 後 記
著者情報
窪島誠一郎
1941年東京生まれ。印刷工、酒場経営などを経て、64年東京世田谷に小劇場「キッド・アイラック・アート・ホール」を設立、79年長野県上田市に夭折画家のデッサンを展示する私設美術館「信濃デッサン館」を、97年に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を設立した。執筆活動では、NHKでテレビドラマ化された、実父水上勉との再会を綴った『父への手紙』(筑摩書房)のほか、『「無言館」の坂道』『雁と雁の子』(平凡社)、『漂白・日系画家野田英夫の生涯』(新潮社)、『「無言館」ものがたり』(講談社)、『「無言館」への旅』(白水社)、『石榴と銃』(集英社)など著書多数。第46回産経児童出版文化賞、第14回地方出版文化功労賞、第7回信毎賞を受賞。「無言館」の活動で第53回菊池寛賞を受賞。

明るき光の中へ 日系画家野田英夫の生涯
定価2,200円
(本体2,000円)
2016年8月