
「自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打つ」と豪語し、異常な執念を燃やす安倍首相。なぜ、これほどまで改憲にこだわるのか? 「安倍改憲の起源」から説き起こして、いまどのような奇策と手直しで改憲への突破を試みているかを具体的に解明する。憲法の生きる日本とアジアをどう築いてゆくかも示した書き下ろし!
目次や構成
- 第Ⅰ部 戦後史のなかの安倍改憲
- 第一章 安倍改憲に至る道―運動が改憲を阻み憲法を力にした―
- 1 50年代改憲の挫折と憲法の定着
- (1) 50年代改憲台頭の背景とねらい
- (2) 50年代改憲構想の2つの柱
- (3) 50年代改憲の最初の挫折と自衛隊合憲解釈の要請
- (4) 60年安保闘争による50年代改憲の挫折―国民が憲法を選び直した!―
- 2 明文改憲断念の30年―軍事化阻む壁となった9条―
- (1) 自民党政治の転換と改憲消極政策
- (2) 平和運動の昂揚と自衛隊の活動を制約する政府解釈の形成
- 3 冷戦後、自衛隊の海外派兵の企図と改憲第2の波
- (1) アメリカの一極覇権、海外派兵圧力と改憲の再台頭
- (2) 既存政治体制を改変した「政治改革」
- (3) 平和運動の陣営の変容と新たな隊列
- (4) 自衛隊派兵をめぐる攻防と内閣法制局
- (5) PKO協力法から周辺事態法へ
- (6) 小泉政権による自衛隊海外派兵強行
- 4 明文改憲の台頭と挫折―自衛隊海外派兵の停滞―
- (1) 9条明文改憲の動き
- (2) 九条の会運動が改憲をまたしても挫折させた
- (3) 改憲第2の波の挫折
- 第Ⅱ部 安倍改憲を阻む
- 第二章 安倍晋三はなぜ改憲に執念を燃やすのか?
- 1 安倍晋三が改憲に執念を燃やす理由
- (1) 安倍と改憲執着の原点―岸信介の亡霊―
- (2) 安倍の改憲論
- (3) 第2次安倍政権における改憲切迫の理由
- 2 解釈改憲をねらった安倍首相
- (1) 第2次安倍政権の解釈改憲先行戦略
- (2) 集団的自衛権限定容認へ
- (3) ガイドラインと安保法制(戦争法)
- 3 解釈改憲から明文改憲へ
- (1) 9条は死んだのか?
- (2) 9条の重し―その1・止まぬ安保法制違憲論
- (3) 9条の重し―その2・安保法制の限界
- 第三章 安倍5・3改憲提言は何をねらうのか?
- 1 なぜ安倍は5・3改憲提言を出したのか?―安倍改憲に立ちはだかった壁―
- (1) 5・3改憲提言の異様
- (2) 安倍改憲に立ち塞がった壁―市民と野党の共同―
- (3) 共同がつくりだした2つの困難
- 2 5・3改憲提言の特徴とねらい
- (1) 5・3改憲提言の特徴
- (2) 5・3改憲提言のねらいは何か?
- 3 安倍改憲戦略の手直しと解散・総選挙
- (1) 安倍改憲をめぐる情勢変化と解散断行への変化
- (2) 安倍首相の解散・総選挙のねらい
- (3) 総選挙の結果―その1・安倍首相のねらいは半分成功
- (4) 総選挙の結果―その2・安倍首相の最大のねらいは失敗
- (5) 決着はこれからに持ち越された
- 4 総選挙から自民党大会へ―安倍改憲に立ちはだかる困難―
- (1) 新たに立ちはだかる2つの困難
- (2) 安倍首相の改憲戦略と誤算
- (3) 自民党大会案をめぐるジグザグ
- 第四章 安倍9条改憲の危険性
- 1 安倍9条改憲の危険性
- (1) 軍事組織が憲法に明記され、9条も憲法全体も変質
- (2) 9条2項は死文化し、国民が信頼する自衛隊は変質
- (3) 安保法制で海外の武力行使が認められた自衛隊が合憲となる
- (4) 自衛隊明記論と緊急事態規定
- 2 9条改憲で、日本とアジアの平和は確保できるか
- 第五章 安倍改憲を阻む力―市民と野党の共闘の力―
- 1 憲法は死んでいない
- (1) 憲法は軍事化の最強の歯止め
- (2) 「立憲的改憲論」の批判
- 2 かつてない市民と野党の共闘で安倍改憲を阻もう
- (1) 「全国市民アクション」でかつてない共同を!
- (2) 共同の取り組み、3つの力点
- 第Ⅲ部 安倍政権のめざす日本から憲法の生きる日本への道
- 第六章 憲法の生きる日本への転換は野党連合政権で
- 1 安倍改憲阻止の力を梃子に安倍政治を変え、憲法の生きる日本へ
- (1) 安倍改憲阻止の共同から安倍政治を変える共同へ
- (2) 安倍政治を変えるには?―安倍政治に代わる選択肢
- 2 野党連合政権はなぜ必要か?
- (1) 野党連合政権に対する異論―その1・野合論
- (2) 野党連合政権に対する異論―その2・時期尚早論
- (3) 安保闘争と政権構想
- (4) 民主党政権の教訓から学ぶ
- 3 憲法のめざす日本の第一歩は野党連合政権で
- (1) 野党連合政権を構想する土台となる政策合意
- (2) 野党連合政権がめざす政治の3つの柱
- 第七章 憲法の生きる日本とアジアをめざして
- 1 憲法の生きる日本をめぐる2つの構想
- (1) 連合政権下の日本とアジア
- (2) 将来に本に関する2つの平和・安保構想
- 2 安保のない日本が拓く可能性
- (1) 安保条約の見直し・廃棄
- (2) 自衛隊の縮小・解体
著者情報
渡辺治
947年、東京生まれ。現在、一橋大学名誉教授、九条の会事務局、日本民主法律家協会理事長。東京大学法学部卒業、東京大学社会科学研究所助教授などを歴任。著書に『日本国憲法「改正」史』(日本評論社)、『憲法「改正」は何をめざすか』(岩波書店)、『「豊かな社会」日本の構造』(労働旬報社)、『高度成長と企業社会』(吉川弘文館)などがある。

戦後史のなかの安倍改憲 安倍政権のめざす日本から憲法の生きる日本へ
定価1,980円
(本体1,800円)
2018年8月