
反ファシズムの傑作『独裁者』誕生80年──凜(りん)としたチャップリンに出会う!
凜凜チャップリン
伊藤千尋=著
いま、日本で流行っている他人をおとしめ、優越感をくすぐる一過性の「お笑い」とは違うチャップリンの「笑い」。人間性を目覚めさせ、人の心を真っ直ぐにしてくれる喜劇の源泉が沸々と伝わる好著! チャップリンが晩年を過ごしたスイスに、2016年にオープンした博物館「チャップリンズ・ワールド」もリポートしてチャップリンを感じ取る!
目次や構成
目次
- はじめに
- 第1章 日本との縁
- チャップリン暗殺計画
- 5・15事件の渦中へ
- 東京駅を埋めた4万人
- 首相と会うより相撲見物
- てんぷら男
- 2度目は2・26事件
- 3度目は阿部定事件
- 美しい日本への憧れ
- 使用人はすべて日本人
- 化粧まわしのチャップリン
- 第2章 悲惨な生い立ち
- チャップリン終焉の地
- チャップリンのワイナリー
- 「チャップリンの世界」
- 母から学んだパントマイム
- 早死にした父と狂った母
- 自分への揺るぎない自信
- 第3章 アメリカの成功
- 元祖ムーン・ウォーク
- 新世界は別世界
- 放浪紳士の誕生
- 監督も兼ねる
- ロマンチック・コメディー
- 『チャップリンの放浪者』
- 今に通じる『移民』
- 『犬の生活』『担へ銃』
- 微笑と涙の『キッド』
- 『黄金狂時代』
- 『サーカス』
- 『街の灯』
- 成功の頂点に立つ
- 歌舞伎に化けた
- 第4章 風当りに抗して
- ピカピカの硬貨
- ガンディーと会う
- 『独裁者』
- 映画史に残る6分の演説
- 狂気に対抗する笑いの力
- 『殺人狂時代』
- つるし上げ
- FBIとの闘い
- 「アカ狩り」
- 初恋から結婚へ
- ウーナ夫人との出会い
- 『ライムライト』
- 最高の映画
- 第5章 追放から安住の地へ
- 再入国を拒否される
- 世界の支持
- スイスへ
- 『ニューヨークの王様』
- 国家と個人
- チャップリンの書斎
- 日常生活
- 家族との暮らし
- 『伯爵夫人』『フリーク』
- 一転したアメリカ
- クリスマスの死
- 時代を超えた記念碑的存在
- チャップリン夫妻の墓
- 第6章 オードリー・ヘプバーンと『ローマの休日』
- 安息の地
- 自由のために闘う映画人
- 抵抗運動の少女ヘプバーン
- 『ローマの休日』の隠れたテーマ
- 志願してユニセフ大使に
- グレゴリー・ペックの良心
- 第7章 スイスの魅力
- 亡命者を受け容れる風土
- 多様性から中立へ
- ハリネズミの武装
- 傭兵から金融業へ
- 国際協調の平和戦略
- 直接民主制の伝統
- 時計からチョコレートまでの移民力
- アルプスに輝く虹
- おわりに
著者情報
伊藤千尋
1949年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。74年に朝日新聞に入社。サンパウロやバルセロナ、ロサンゼルスの支局長などを歴任。2009年に定年を迎えたが再雇用で同紙の「be」編集部で勤務を続けている。主な著書に『凜とした小国』『9条を活かす日本』(ともに新日本出版社)、『反米大国』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など多数。