
犯罪史上、類例のない帝銀事件。特捜部は執念の捜査で、ついに日本の秘密戦機関・部隊のほぼ全貌を明らかにしていく。しかし、そこに立ち塞がった「捜査の壁」とは? これまで問題にされたGHQの捜査介入だけでなく、警察内部資料を分析して日本の秘密戦関係者の免責措置がGHQによってとられていたことを確認。戦犯免責取引が解明される。
目次や構成
<目次>
- まえがき
- 第一章 帝銀事件捜査と『甲斐捜査手記』
- 1 帝銀事件とは
- 2 『甲斐捜査手記』の存在
- 3 『甲斐捜査手記』の数量的分析
- 4 『甲斐捜査手記』から読み取る捜査の流れ
- 第二章 捜査で浮上した日本の化学戦部隊
- 1 陸軍習志野学校
- 2 第六陸運技術研究所(六研)
- 3 陸軍糧秣廠
- 4 関東軍化学部(五一六部隊)・五二六部隊
- 5 陸軍第二造兵廠忠海製造所(大久野島)
- 第三章 捜査で浮上した日本の生物戦部隊
- 1 関東軍防疫給水部(七三一部隊)
- 2 中支那防疫給水部(一六四四部隊)
- 3 関東軍軍馬防疫廠(一〇〇部隊)
- 第四章 捜査で浮上した日本の謀略戦部隊
- 1 第九陸軍技術研究所(九研・登戸研究所)
- 2 陸軍中野学校
- 3 特務機関
- 4 八六部隊・中野実験隊・特設憲兵隊
- 第五章 捜査の終結:捜査の二つの壁
- 1 第一の壁:GHQと旧軍人の介入
- 2 第二の壁:通常捜査の盲点「変装」
- 注
- あとがき
- 帝銀事件捜査・裁判年表
著者情報
山田朗
1956年、大阪府生まれ。明治大学文学部教授、歴史教育者協議会委員長。主な著書に『日本帝国主義の満州支配』(共著、時潮社、86年)『昭和天皇の戦争指導』(昭和出版、90年)『大元帥・昭和天皇』(新日本出版社、94年)『外交資料近代日本の膨張と侵略』(編、新日本出版社、97年)『歴史教育と歴史研究をつなぐ』(編、岩波書店、07年)『日本近現代史を読む』(共著、新日本出版社、10年)『兵士たちの戦場』(岩波書店、15年)『近代日本軍事力の研究』(校倉書房、15年)『昭和天皇の戦争』(岩波書店、17年)、『日本の戦争:歴史認識と戦争責任』(17年)『日本の戦争Ⅱ:暴走の本質』(18年)『日本の戦争Ⅲ:天皇と戦争責任』(19年)『帝銀事件と日本の秘密戦』(20年、ともに新日本出版社)など多数。

帝銀事件と日本の秘密戦
定価2,200円
(本体2,000円)
2020年7月