
授業準備の時間もない⎯⎯⎯⎯異常な長時間労働で疲弊する教師たち。なぜ「学校の働き方改革」が叫ばれても事態は好転しないのか。本書は制度の歴史を詳しく検討し、法に基づけば本来必要だった増員がなされていないことを解明します。残業代ゼロの転換、少人数学級化への動きにとっても大切な視点を提供する労作です。
目次や構成
目次
はじめに
- 第1章 教員の長時間労働と子どもの成長
- 1 データで見る日本の教員の働き方
- 2 最大の被害者は子どもたち
- コラム 教員の勤務実態調査が五〇年間で三回しかなかった理由
- 第2章 二割も少ない教員定数の構造ーー「義務標準法」の研究
- 1 業務量と労働者(教員)数
- 2 一九五八年の「教員は一日四コマの授業」の原則
- 3 「一日四コマ」の原則の崩壊
- 4 「一日四コマ」の原則の再確立を
- コラム 「義務標準法」を読む
- コラム 一日六コマ国会論戦
- 第3章 「教育改革」の累積
- 1 困難をかかえる子どもと保護者の増加
- 2 「教育改革」の累積、増える書類と会議
- 3 部活動の負担の増加
- 4 不要不急の業務の削減
- 第4章 「残業代ゼロ」の矛盾とその打開
- 1 残業代ゼロの仕組みーー教員給与特別措置法
- 2 「給特法」の制定過程
- 3 制定時も説明できなかった法の矛盾
- 4 矛盾は極限に達すーー「給特法」改正の探究
- コラム 「給特法」第五条(読み替え規定)を読む
- 補論1 教員の変形労働時間制
- 1 制度のポイント
- 2 現場からの強い反対ーー導入の理由も成り立たない
- 3 導入に高いハードルーー国会論戦の成果
- 4 問われる勤務時間の把握、人事委員会の機能
- 補論2 本格的な少人数学級のために
- 1 少人数学級をめぐる攻防の経過
- 2 国民的課題としての少人数学級の切実さ
- 3 子どもの尊厳、多様性を支えるための基礎的な教育条件
- 4 世界では二〇人台が当たり前
- 5 少人数学級と政治の深い関係
- 資料 赤旗掲載論文「教員の超勤制度をめぐる統一要求について」
著者情報
藤森毅
1960年、東京生まれ。東京大学教育学部卒業。日本共産党文教委員会責任者。著書に『教育の新しい探究』(2009年)、『いじめ解決の政治学』(13年)〔いずれも新日本出版社刊〕がある。

教師増員論 学校超多忙化の源をさかのぼる
定価1,870円
(本体1,700円)
2021年4月