
勅語の一語一語を説明しながら、こめられた意味をはっきりさせます。誰が書いたのか、どのように浸透したか、どんな抵抗があったのか、そして失効の歴史をやさしく語ります。森友学園問題から起きた国会史上最大の勅語論戦も、初めてまとめました。戦後日本の成り立ちが見えてくる一冊です。現代語訳、関連資料付き。
目次や構成
- 第1章 教育勅語を読んでみよう
- (1) 315文字の単文は三段落に分かれている
- (2) 国も道徳も天皇がつくった?
- (3) 「御名御璽」と父母への「孝」
- (4) 「夫婦相和シ」の驚く内容
- 教育勅語の現代語訳
- 第2章 教育勅語は誰が書いたの?
- (1) 明治政府、教育政策で揺れるー欧米化と天皇側近の逆襲
- (2) キレ者、井上毅の登場ー立憲主義と両立できるか?
- (3) 軍隊、憲法、そして教育
- 第3章 教育勅語の浸透と矛盾
- (1) 異様な数分間ー教育勅語はどのように浸透していったのか
- (2) 内村鑑三不敬事件ー声あげるキリスト教者たち
- (3) 石川啄木、島崎藤村ー教育の本質を問う
- (4) 執拗なやり直しと体罰ー少国民世代の勅語体験
- (5) 片手にサーベル、片手に勅語ー植民地朝鮮で
- 第4章 教育勅語はなぜ廃止になったの?
- (1) 出発点は「ポツダム宣言」
- (2) すったもんだの三年間ー国内外の世論の中で
- (3) 排除・失効の国会決議の意味は大きい
- 第5章 戦後七〇年以上たった国会で史上最大の論戦!
- (1) 「教育勅語は学校教育では使わない」
- (2) 疑惑の森友学園、園児が教育勅語暗唱
- (3) 政府、使用可能の答弁へ
- (4) 立ちはだかった排除・失効決議
- (5) 中身を議論すればするほど
- あとがきに代えて(藤森 毅)
- あとがき(佐藤広美)
- 主な参考文献
- 資料
- 略年表
著者情報
佐藤広美
1954年北海道生まれ。東京家政学院大学名誉教授。教育科学研究会委員長。都立大学大学院博士課程単位取得退学。『日韓の歴史問題をどう読み解くか』(2020年、新日本出版社、共著)、『「誇示」する教科書』(2019年、新日本出版社)、『災禍に向きあう教育』(2019年、同前)、『植民地支配と教育学』(2018年、晧星社)、『教育勅語を読んだことのないあなたへ』(2017年、同前、共著)、『総力戦体制と教育科学』(1997年、大月書店)など著作多数。
藤森毅
1960年、東京生まれ。東京大学教育学部卒業。日本共産党文教委員会責任者。著書に『教育の新しい探究』(2009年)、『いじめ解決の政治学』(13年)〔いずれも新日本出版社刊〕がある。

教育勅語を読んだことのないあなたへ なぜ何度も話題になるのか
定価1,760円
(本体1,600円)
2017年12月