
戦争で命を奪われてはならなかった画学生の思い
「無言館」のうた
窪島誠一郎=著
恋人、家族、故郷の山河、何気ない日常……八十数年前、出征していった画学生たちが「ただ、ひたすらに描きたい」思いで残した作品が放つ「言葉」に、戦没画学生慰霊美術館「無言館」の館主が改めて耳を傾ける。絵画・彫刻48点をカラーで紹介、作者・作品・遺族の思いなどをまとめた「赤旗」日曜版連載を単行本化!
目次や構成
<目次>
- はじめに── 一粒の小石たちに
- 1 静寂と清廉 椎野修「月夜の田園」
- 2 不穏な夕暮れ 片桐彰「街」
- 3 妹よ、兄よ 太田章「和子の像」
- 4 兄はただ号泣した 興梠武「編みものする婦人」
- 5 俺を探すな 清水正道「婦人像」
- 6 正真正銘の絶作 片岡進「自刻像」
- 7 茜色の父へ 小野春男「茄子」
- 8 無念と感謝の交錯 伊澤洋「家族」
- 9 モンパルナスの青春 吉田二三男「自画像」
- 10 遺されたハンカチ 尾田龍馬「芍薬」
- 11 ひとつの灯 大江正美「白い家」
- 12 壁に付いた絵の跡 佐久間修「裸婦」
- 13 パリに行かせて 中川勝吉「風景(道)」
- 14 天皇はんに叱られても 蜂谷清「祖母の像」
- 15 姉さんが恋人だった 飯塚孝之亟「花」
- 16 大の「母親っ子」 川崎雅「馬」
- 17 ぼくは必ず治ります 岩田良二「故郷風景(吉野川)」
- 18 「お公卿様」とよばれて 田中兵部「婦人像」
- 19 みかんは和歌山が一番 釜井清「杜鵑花・子規」
- 20 あの夏のままなのです 日高安典「裸婦」
- 21 「ボタモチ」「玉子焼」「テンプラ」…… 小柏太郎「婦人像」
- 22 お腹の赤はあばれているか 中村萬平「霜子」
- 23 東山魁夷を超えた男 浜田清治「あじさい」
- 24 「戦争」を睨む眸 石井正夫「模型建艦」
- 25 「特攻兵」を絵筆で見送る 大貝彌太郎「飛行兵立像」
- 26 「画学生兄弟」の絶叫 山之井龍朗・俊朗「少女」
- 27 画面を包む焦燥と不安 渡辺武「人々」
- 28 何もかもが吹き飛んだ 手島守之輔「吉名岬風景」
- 29 春は厭はしくなりぬ 伊藤守正「神将像」
- 30 何の本でも読みたい 丸尾至「釣り人のいる風景」
- 31 寝ても醒めても「数寄屋橋」 伊勢正三「数寄屋橋界隈」
- 32 安井、河上が育てた巨樹 畑田一燈之「古木」
- 33 未知の「美」の発見 池澤賢「草原の朝」
- 34 沖縄のコウノトリ 近藤隆定「禿鸛」
- 35 出征も「飛び級」だった 永江千秋「奈良唐招提寺」
- 36 喜劇役者になりたかった 宮地英郎「自画像」
- 37 すべては運命である 佐藤孝「林の道」
- 38 徳山駅新幹線ホーム 久保克彦「(煙草を銜える)自画像」
- 39 鬼の形相になって 原田新「妹・千枝子の像」
- 40 海の底から「竹の子」? 高橋英吉「竹の子」
- 41 母の手が子の背を撫でた 大倉裕美「S嬢」
- 42 主なきアトリエで 大竹武雄「菊」
- 43 私は逃避していた 市瀬文夫「温室の前」
- 44 「風になっていない」 西岡健児郎「妻せつ」
- 45 土砂降り雨のなか 大谷元「妹像」
- 46 五百余通の恋文 前田美千雄「フィリピン島スケッチ」
- 47 「望郷」と「忠誠」 須原忠雄「柑橘實る頃」
- 48 ドロでだって絵は描ける 石村日郎(靉光)「静物」
著者情報
窪島誠一郎
1941年東京生まれ。印刷工、酒場経営などを経て、64年東京世田谷に小劇場「キッド・アイラック・アート・ホール」を設立、79年長野県上田市に夭折画家のデッサンを展示する私設美術館「信濃デッサン館」を、97年に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を設立した。執筆活動では、NHKでテレビドラマ化された、実父水上勉との再会を綴った『父への手紙』(筑摩書房)のほか、『「無言館」の坂道』『雁と雁の子』(平凡社)、『漂白・日系画家野田英夫の生涯』(新潮社)、『「無言館」ものがたり』(講談社)、『「無言館」への旅』(白水社)、『石榴と銃』(集英社)など著書多数。第46回産経児童出版文化賞、第14回地方出版文化功労賞、第7回信毎賞を受賞。「無言館」の活動で第53回菊池寛賞を受賞。
「無言館」のうた
定価2,420円
(本体2,200円)
2026年6月













