
少女は、なぜクラスメートを死なせてしまったのか−−。携帯メールにとびかう彼女たちの憎悪と狂気。著者は、子どもの現実に潜んでいる危機を、どうしたら深くとらえていくことができるか、さまざまな実例を通して彼女たちの悲痛な叫びを読み解きます。そして「それでも子どもは未来志向!」とお母さんや先生に語りかけます。
目次や構成
[目次〕
- はじめに
- 1章 五〇万人の子どもたちの苦悩と悲しみ
- 一 増える少年犯罪と暴力行為
- 二 自分を守ろうとする姿勢が・・・・・・
- 三 ケータイ電話のなかの子どもたち
- 2章 子どもたちの見放され感覚と「退屈感」のワナ
- 一 殺傷現場
- 二 女児Aの日常とそこに潜む世界
- 三 ホームページのなかの女児A
- 四 退屈感の中に芽生える攻撃性
- 五 人間的感覚の希薄化とゲーム感覚
- 六 長崎家裁の「決定」と社会心理学者E・フロムのメッセージ
- 3章 子どもの「こころの闇」と子育ての孤立化
- 一 まさか中学一年生が・・・・・
- 二 一二歳の少年像
- 三 事件の性格
- 四 病理の要因をどう考えるか
- 五 一二歳の少年の悲痛な叫び―長崎家裁の「決定」を読む―
- 4章 少女の狂気と正気
- 一 自死願望と家族全員殺害計画
- 二 少女のホームページから「こころの闇」を読む
- 三 少女の非現実と現実
- 5章 変貌する子どもたちの生活世界
- 一 作文アンケート「楽しかったこと・悲しかったこと・ムカついたこと」
- 二 子どもたちの隠れた攻撃性
- 6章 それでも子どもは未来志向
- 一 人間的自然をとりもどす生活を
- 二 子どもたちの本音と生活に寄り添って
- 三 子どものありのままを受けとめて
- 四 子どもが安心と平和のうちにともに生きる権利
- あとがき
著者情報
村山士郎
1944年山形県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学。「ロシア革命と教育革命」で東京大学教育学博士に。現在、大東文化大学教授、日本作文の会常任委員会副委員長、教育科学委員会常任委員。近著に『それでも私たちは教師だ―子どもたちと共に希望を紡ぐ ドキュメント津波と原発の地、福島で』(共著、2012年、本の泉社)、『豊かなことば育ちが心と学力の基礎』(2009年、本の泉社)、『現代の子どもと生活綴方実践』(2007年、新読書社)、『事件に走った少女たち』(2005年、新日本出版社)、『希望としての学力 豊かなことばと表現が学力の土台』(2003年、桐書房)、『なぜ「よい子」が暴発するか』(2000年、大月書店)、『子どもの喜びと学校づくり』(1988年、新日本出版社)など。著書多数。