
1944年、悪化する一方の戦局。国民の犠牲をかえりみず、東條首相を押し立て「もう一度戦果を挙げてから」と戦争継続に固執する昭和天皇。「終戦」に向けて、始まる東條内閣打倒工作。国家の命運を左右する軍部と宮中・重臣グループの息詰まる暗闘を克明に描き、戦後も引きつがれた昭和天皇「平和主義者」論の虚妄を衝く。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに
- 第1章 密かに始まった「終戦」工作
- 東条内閣を退陣に追い込む
- 東条内閣打倒工作のゆくえ
- 劣勢に立つ主戦派勢力
- 第2章 天皇の継戦意思と「終戦」工作
- 遅延する「終戦」工作
- 「和平」工作との関連で
- 変転する天皇の継戦意思
- 第3章 「聖断」の決定経緯とその真意
- 「聖断」の決定経緯とその真相
- 対ソ工作と政策転換の決意
- 「聖断」方式採用の理由
- 第4章 受け継がれる「聖断神話」
- 降伏決定前後の昭和天皇
- 戦後における「聖断論」の流布と意味
- おわりに
- あとがき
- 引用・参考文献
- 関連略年表
著者情報
纐纈厚
1951年生まれ。山口大学名誉教授(同大学の副学長や理事も務めた)、現在、明治大学特任教授。著書に『「聖断」虚構と昭和天皇』(2006年)、『憲兵政治』(08年)〔ともに新日本出版社〕、『近代日本政軍関係の研究』(岩波書店)など多数。

「聖断」虚構と昭和天皇
定価2,530円
(本体2,300円)
2006年12月