
国内ばかりか中国・東南アジアの人びとをも震え上がらせた「ケンペイ」。甘粕事件や中野正剛事件にみられるように軍内部の防諜という本来任務を逸脱し、自由主義者の抑圧や反戦を主張した日本共産党の弾圧に奔走し、侵略戦争と政治に深く関わっていった組織の実態を追う。今日の海外派兵、憲法改悪の流れに警鐘乱打する。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに よみがえる「憲兵政治」
- 暴かれた「秘密資料」
- 陸上自衛隊情報保全隊とは何か
- 密かに進められた国民監視業務
- …など
- 第1章 憲兵組織はどうなっていたか
- 憲兵の設立と役割
- 設置目的と服務規程
- 憲兵隊の編成と配置
- …など
- 第2章 軍事体制下の憲兵と国民
- 民主主義発展の時代に
- 反軍運動を警戒
- 本来任務の逸脱―甘粕事件
- …など
- 第3章 東條英機と「憲兵政治」
- 東條英機と憲兵
- 恐怖政治の始まり
- 東條を支えた憲兵将校
- …など
- 第4章 戦争国家を支えた憲兵の位置
- 軍政憲兵と軍令憲兵
- 治安出動事例
- 植民地朝鮮における憲兵警察
- …など
- 第5章 許されない「憲兵政治」の復活
- 憲兵との酷似性
- 相次ぎ起きた抗議の声
- 文民統制からの逸脱
- …など
- あとがき
著者情報
纐纈厚
1951年生まれ。山口大学名誉教授(同大学の副学長や理事も務めた)、現在、明治大学特任教授。著書に『「聖断」虚構と昭和天皇』(2006年)、『憲兵政治』(08年)〔ともに新日本出版社〕、『近代日本政軍関係の研究』(岩波書店)など多数。

憲兵政治 監視と恫喝の時代
定価2,090円
(本体1,900円)
2008年2月