
「保育の質」を高め、子どものしあわせ格差をなくすための基礎知識
保育の底力 子どもを大切にするためのミニマム・エッセンス
浅井春夫=著
公立保育所の民営化や「認定こども園」の推進など、経済効率偏重の大きな波のなかにある保育・子育て現場。そんな時代状況にあるだけに、ほんとうの「保育の底力」を発揮するために身につけたい見方や考え方、具体的対策を実践的に解説。児童虐待・性的虐待への対応、子育て支援策に必要なものなどを、現場の視点でリアルに説き明かします。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに ― 子育て・保育で問われている底力と五つのY ―
- 第1部 子育て・保育実践を耕す
- 第1章 子どもの貧困としあわせの課題
- 自己責任vs「子ども福祉」の公的責任
- 子どものしあわせとは何か
- 子どものしあわせ格差社会
- 子どもの社会的貧困のしくみ
- 人生最初の社会保障としての「子ども福祉」
- 第2章 乳幼児の権利を考える
- 乳幼児の権利をどう捉えていますか?
- 子どもの権利条約における子育て・保育像
- 子どもの権利条約を発展させたもの
―― 国連・子どもの権利委員会の「一般的見解」第7号 ―― - 幼児期の子どもたちに、権利条約をプレゼントするために
- 第3章 「保育の質」を高める実践を耕す
- 「保育の質」を耕す
- 「保育の質」と第三者評価事業
- 「保育の質」を高めるためのとりくみ
- 「保育の質」を脅かすもの
- 「保育の質」を高めるための課題提起
- 第4章 ジェンダーと権利の視点で保育を考える
- 「男の仕事!」「女の仕事?」が園のなかにありませんか?
- 子どもの権利、守っていますか?
- 第5章 ちょっと考えてみたい―乳幼児期の性教育
- 乳幼児期の性的発達
- 乳幼児期におけるジェンダー平等教育の展開
- 第6章 求められる子育て支援とは?
- 子育ての何を誰が支援するのか
- 本来の子育て支援策に求められるもの
- 子育て支援の視点
- 第1章 子どもの貧困としあわせの課題
- 第2部 子育て・保育の現場を見つめなおす
- 第1章 日本の児童福祉は、どのような歩みと特徴をもっているのか
- 日本の児童福祉の歩み
- 児童養護問題の現代的な特徴
- 児童福祉施設の制度はどうなっているか
- 第2章 子ども虐待対応の強化を図るために
- 子どもの権利条約と虐待問題
- 児童虐待防止法改正の内容と今後の課題
- 児童虐待防止ネットワーク形成の課題
- 虐待を繰り返す親の現状とその介入方法
- 虐待への具体的な対応の基本について
―― 保育所を例にしながら、民生委員、学校、行政機関の役割を考える ――
- 第3章 なぜ起こる? 性的虐待
- 性的人権の侵害の実態
- 性的虐待の子どもへの人格的影響
- 性的虐待に立ち向かうために
- 性的虐待からの解放
- 第4章 保育・福祉の現場を担うのは働く人の力
- 第1章 日本の児童福祉は、どのような歩みと特徴をもっているのか
- 第3部 子育て・保育政策のどこが問題か
- 第1章 「少子化問題」を考える視点
- これまでの子育て支援は何が問題であったか
- 「少子化問題」で問われる視点
- 子どもを大切にする国になっているか
- 少子化対策の柱は家族政策と労働政策
- 国のすすめる規制緩和と保育の市場化
- 第2章 「認定子ども園」は日本の保育をどこに導くか
- 「認定子ども園」って何?
- 「認定子ども園」の問題点
- 第3章 公立保育園の民営化問題に立ち向かう
- 公立保育所がなぜ必要なのか
- 財政の破綻を理由にした民営化の論理
- 民営化の動きに対して、どう対応するか
- 第1章 「少子化問題」を考える視点
- おわりに ― 現場の品格と希望を考える ―
著者情報
浅井春夫
立教大学名誉教授。1951年京都府生まれ。1974年龍谷大学法学部法律学科卒業、76年日本福祉大学社会福祉学部卒業、78年同大学院社会福祉学研究科修士課程修了。東京の児童養護施設で12年間、児童指導員として勤務。98年から立教大学で助教授、教授として勤務。『脱「子どもの貧困」への処方箋』(新日本出版社、2010年)、『沖縄戦と孤児院』(吉川弘文館、2016年)、『戦争をする国・しない国』(新日本出版社、2016年)、『「子どもの貧困」解決への道』(自治体研究社、2017年)、『包括的性教育』(大月書店、2020年)、『性のおはなしQ&A』(エイデル研究所、2020年)、『パンでわかる包括的性教育』(監修、小学館、2023年)など著作多数。