
働く人びとに“痛み”を強いる「財界戦略」批判
労働ビッグバン これ以上、使い捨てにされていいのか
牧野富夫=編著 今村幸次郎=著 生熊茂実=著 藤田宏=著
増大するワーキングプアや「ネットカフェ難民」、蔓延する長時間労働と30代の「うつ」――こんなに深刻な状態が広がったのはなぜなのか。その原因と、政府・財界が描く「ワークライフバランス」「効率的な労働市場」の正体を徹底解明! 「労働ビッグバン」の全容を捉え、労働者保護法の今日的意義を明らかにする初めての書。
目次や構成
〔目次〕
- 序章 「労働ビッグバン」と貧困化 牧野富夫
- はじめに
- 「労働ビッグバン」とは何か
- 「労働ビッグバン」の定義
- 「労働ビッグバン」の第1段
- 「労働ビッグバン」の第2段=総仕上げ
- 「ワークライフバランス」の混迷
- ワークライフバランス思想の起源
- 政府・財界の「ワークライフバランス」論の欺瞞(ぎまん)性
- 第1章 労働者の生活と働き方の現状 生熊茂実
- 事実の検証が不可欠
- 所得の低下と不安定雇用の増大
- 異常な長時間過密労働の蔓延
- 具体的事実でみる労働者の実態
- 「漂流」するフリーターたち
- 外食産業を支えるパート・アルバイトの若者
- 「ネットカフェ難民」の激増
- 「偽装請負」で働かせられる青年労働者
- 結婚や子育てができない若者たち
- これは、「みずから選んだ働き方」なのか
- こんな状態が広がった原因はどこに
- 事実の検証が不可欠
- 第2章 「労働ビッグバン」で何がおきるか 藤田 宏
- 労働ビッグバン「第1段」 ―90年代後半の労働法制改悪
- 震源は「新時代の『日本的経営』」
- 労働法制改悪の特徴
- 労働者が受けた“惨禍”
- 財界・大企業の収支決算の変化
- 労働ビッグバン「第2段」の動向
- "とば口"の攻防
- 「骨太方針2007」と「第2段」推進の"地ならし作業"
- 危険な“本音”とからくり
- “3つの推進勢力”とその狙い
- 「第2段」の“3つの標的”
- 「第2段」先取りの意味
- 労働ビッグバン「第1段」 ―90年代後半の労働法制改悪
- 第3章 労働者保護法の再生に向けて 今村幸次郎
- 労働法制の「崩壊」過程 ―労働ビッグバン「前史」から「第1段」
- 労働法における規制緩和の流れ
- 「前史」の労働法制改悪(80年代半ば〜90年代半ば)
- 「第1段」の労働法制破壊(90年代半ばからの約10年)
- 労働法制「崩壊」がもたらしたもの
- 当面の対決点 ―いま、具体的にもくろまれている労働法制の大改悪
- 財界の要求と06年の閣議決定
- 労働者派遣法改悪 ―より不安定で劣悪に
- 労働時間法制見直し ―労働者の健康と生活を根底から破壊
- 労働契約法制 ―使用者に労働条件の決定・変更権を与える
- 解雇の金銭解決制度 ―究極の雇用流動化
- 労働者保護法の必要性と重要性
- なぜ労働者保護法が必要なのか
- 戦前の日本の労働関係
- 労働基準法の制定とその趣旨
- いまこそ労働者保護法の制定を
- 労働法制の「崩壊」過程 ―労働ビッグバン「前史」から「第1段」
- 第4章 「労働ビッグバン」を阻止し、働くルールの確立を 生熊茂実
- 「労働ビッグバン」は阻止できる ―社会の実態がたたかいの土台
- 労働法制改悪は日本とアメリカの政府・財界の要求
- 政府・財界の思い通りにはすすまない
- 格差と貧困の広がり ―日本社会の中心問題
- 労働者状態の悪化は企業にも社会にも悪影響
- クレームの増大、技術力の低下
- あふれる貧困と犯罪
- たたかう主体的条件の前進
- 潮流の違いを越えて共同の力を発揮できる
- 非正規労働者のたたかいの前進
- 光洋シーリングテクノでの経験
- 青年があきらめずに立ち上がった
- 外国人労働者のたたかいと組織化の前進
- 「労働ビッグバン」阻止の運動をどうすすめるか
- 「残業代ゼロ法案」の上程を阻止した教訓
- さまざまな階層・団体との共同を前進させる
- 「働くルール」の確立めざして
- 真に労働者のための改革が必要
- 労働組合の要求・政策について
- 政党の労働・雇用政策について
- 労働者のための「改革」は実現できる
- 参議院選挙での激変を生かして
- 「労働ビッグバン」は阻止できる ―社会の実態がたたかいの土台
- 終章 「労働ビッグバン」がもたらすもの 牧野富夫
- 「労働ビッグバン」がめざす【効率的な労働市場】像
- 注意すべき点
- 「労働ビッグバン」がもたらした重大な変化
- 「労働疎外」が深刻に
- 生計費原則の風化
- 雇用観の逆転
- 「日本的経営」崩壊の矛盾 ―「パイの理論」の破綻
- 「人間らしい労働と生活」の実現をめざして
- あとがき
- 〔資料〕関連年表
著者情報
牧野富夫
1937年生まれ。労働総研顧問、日大名誉教授(副学長なども歴任)。著書に『労働ビッグバン』(2007年、新日本出版社)、『構造改革は国民をどこへ導くか』(03年、同)など多数。他執筆者―友寄英隆(経済研究者)、萩原伸次郎(横浜国立大学名誉教授)、山中敏裕(日本大学准教授)、建部正義(中央大学名誉教授)、藤田宏(労働総研事務局次長)、生熊茂実(JMIU中央執行委員長)、下山房雄(九州大学名誉教授)。

労働ビッグバン これ以上、使い捨てにされていいのか
定価1,870円
(本体1,700円)
2007年10月
今村幸次郎
自由法曹団事務局長

労働ビッグバン これ以上、使い捨てにされていいのか
定価1,870円
(本体1,700円)
2007年10月
生熊茂実
全国労働組合総連合副議長、全日本金属情報機器労働組合中央執行委員長

労働ビッグバン これ以上、使い捨てにされていいのか
定価1,870円
(本体1,700円)
2007年10月
藤田宏
労働運動総合研究所理事

労働ビッグバン これ以上、使い捨てにされていいのか
定価1,870円
(本体1,700円)
2007年10月