
「お前の代わりはいくらでもいる」「こんなこともわからないの?」「進路選択の結果は自己責任」…。身近にあふれるキビシイ一言たちの内部には、よくよく考えると様々な矛盾が。人間の本質にさかのぼりながら、言葉の背景にある競争主義や貧困の問題を見つめ、それとたたかう人々の言葉に耳を傾けた渾身の社会評論。
目次や構成
〔目次〕
- 第1部 「格差社会」に氾濫する言葉
- 第1章 キツーイ一言 (仕事編)
- ケース1 「お前の代わりはいくらでもいるんだよ」
- ケース2 「君はこの仕事向いてないんじゃない?」
- ケース3 「空気読めよ」
- ケース4 「派遣は責任取らなくていいからいいよな」
- 第2章 思わず出る一言 (小・中学生編)
- ケース1 「こんなこともわからないの?」
- ケース2 「○○ちゃんはできるのに・・・」
- ケース3 「あんたにはすごくお金かけてるんだからね」
- ケース4 「いじめられる側にも問題がある」
- 第3章 不安が募る一言 (青年期編)
- ケース1 「大学に入るだけでなく、将来のことを考えなさい」
- ケース2 「『生きる力』は受験を通じてつくと思う」
- ケース3 「自分らしく働ける仕事を見つけなさい」
- ケース4 「進路は自分が自由に選択。だから結果は自己責任」
- 第1章 キツーイ一言 (仕事編)
- 第2部 理不尽とたたかう言葉
- 第1章 職場でトラブルが起きたらどうするか
- 第2章 貧困を見つめる、貧困とたたかう
- 第3章 「意欲の貧困」を考える
- 第4章 「自己責任」論と言葉を操る者の連帯
- あとがき
ここで「お前の代わりは……」という時の「お前」とは、当然ながら、このアルバイト店員である「オレ」という個人を指しています。 この人と同じ人は、世界中探してもほかにいないわけですから、原理的にいえば「代わり」のいるはずがありません。 (「第1章 ケース1」より)
著者情報
小森陽一
1953年生まれ。<BR> 北海道大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程修了。成城大学助教授を経て、現在東京大学大学院総合文化研究科教授。<BR> おもな著書<BR> 『構造としての語り』(新曜社)<BR> 『日本語の近代』(岩波書店)<BR> 『ポストコロニアル』(岩波書店)<BR> 『日露戦争スタディーズ』(紀伊国屋書店)<BR> 『天皇の玉音放送』(五月書房)<BR> 『歴史認識と歴史小説―大江健三郎論』(講談社)<BR> 『研究する意味』(東京図書)<BR>
おおえだけいこ
イラストレーター

理不尽社会に言葉の力を ソノ一言 オカシクナイデスカ?
定価1,650円
(本体1,500円)
2007年12月