
なぜ生活再建が進まないのか。復興をめぐる対抗軸を解明!
「被災者目線」の復興論 東北の生活現場から考える
日野秀逸=著
震災から半年以上、なお生活と生業の再建には程遠い状況が…。仙台市で被災し復興に向け尽力する経済学者が、被災地の実情をふまえ復興に求められるものを分析し、政府や宮城県などの対応を検証します。「新自由主義か生存権保障か」「上からの復興案か、被災者の声を積み上げるのか」など復興をめぐる対抗軸が鮮明に!
目次や構成
- はじめに
- 1 大震災、私の体験から――生活はどうなったか
- 2 東日本大震災の性格
- (1)「大規模性」「複合性」「超広域性」「長期性」
- (2)高齢化と過疎の地域を襲う人災
- (3)いかなる取り組みが必要になるか
- 3 復興構想会議提言をめぐって――被災者と被災地を向いていない奇妙な構想
- (1)復興の基本方針
- (2)「被災者」も「生存権」も記載されない「復興構想七原則」
- (3)「創造的復興」の意味するもの
- (4)「特区」構想
- (5)「従来の支え合い」を基盤とする提言――自助と互助が中心
- (6)復興に公的責任を果たさないと宣言するに等しい「新しい公共」論
- (7)日本社会の「絆」の弱化
- (8)「絆」をめぐる震災後の状況
- (9)どのような社会をめざすのか
- 4 宮城県震災復興計画(第二次案)から見えてくる危うさ
- (1)委員の構成――「国と世界」を論ずる委員ばかりで地元自治体関係者はゼロ
- (2)野村総研が音頭を取る財界シンクタンクそろい踏み
- (3)経済団体の「震災太り」復興構想
- 5 現場からの再建・復興へ――せめぎあいの対抗軸
- (1)主な対抗軸
- (2)復興案の策定をめぐって
- (3)自治の力に依拠する
- (4)地域循環型経済を基礎に
- (5)復興財源をどうするか
- 6 この状況下での「社会保障と税の一体改革」
- (1)弱体化させられた社会保障と孤独社会・閉塞社会
- (2)最近の政府・財界の社会保障政策
- (3)労働と生活の総合的保障としての社会保障
- おわりに――日本社会の憲法的再建を
著者情報
日野秀逸
国民医療研究所所長、東北大教授。1945年生まれ、東北大医学部卒。大阪大医学部助手、国立公衆衛生院衛生行政学部衛生行政室長、都立大教授などを歴任。『世界の医療・日本の医療』(旬報社)、『社会サービスと協同のまちづくり―「構造改革」と保健・医療・介護・福祉』(編著、自治体研究社)、『アウシュヴィッツの医師たち―ナチズムと医学』(訳、三省堂)など著書多数。

「被災者目線」の復興論 東北の生活現場から考える
定価1,320円
(本体1,200円)
2011年10月