
大津市のいじめ自殺事件の報道から、再び問題になり、続発する子どもたちのいじめ事件。安心して通える学校へむけ、今、子ども社会に起きていることを解き明かし、子どもを中心にした論議をできるように問題を整理します。そして、いじめの要因を断つ社会改革、子どもとの信頼関係を築いていく取り組みを提起します。
目次や構成
〔目次〕
- はじめにーーいじめをありのままに見ることから
- 1章 いじめを楽しむサディスティックな病理ーー大津市A中学いじめ自殺事件の特徴
- 1 続発するいじめ事件
- 2 大津市A中学いじめ自殺事件
- 2章 今日のいじめをどうとらえるか
- 1 いじめは他者攻撃の一形態ーーいじめの源はイラダチやムカツキ、不安感や抑圧感
- 2 いじめだけを見ていて、いじめはわかるのかーーデータから見える子どもの全体的危機
- 3 「遊び」だからいじめではないのか
- 3章 文部科学省のいじめ対策に期待できるのか
- 1 いじめは減っているというのは本当かーー文部科学省調査のいじめ認知数への疑問
- 2 文部科学省のいじめ取組方針の無策
- 3 いじめ加害者への「出席停止」措置は教育委員会に任せていいのか
- 4章 いじめのない安心と信頼の子ども世界を
- 1 「なぜうちあけてくれなかったの」と言う前に
- 2 いじめの要因を絶っていく社会改革を
- 3 今、子どもたちに安心と信頼の生活世界をーー今、学校に何ができるか
著者情報
村山士郎
1944年山形県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学。「ロシア革命と教育革命」で東京大学教育学博士に。現在、大東文化大学教授、日本作文の会常任委員会副委員長、教育科学委員会常任委員。近著に『それでも私たちは教師だ―子どもたちと共に希望を紡ぐ ドキュメント津波と原発の地、福島で』(共著、2012年、本の泉社)、『豊かなことば育ちが心と学力の基礎』(2009年、本の泉社)、『現代の子どもと生活綴方実践』(2007年、新読書社)、『事件に走った少女たち』(2005年、新日本出版社)、『希望としての学力 豊かなことばと表現が学力の土台』(2003年、桐書房)、『なぜ「よい子」が暴発するか』(2000年、大月書店)、『子どもの喜びと学校づくり』(1988年、新日本出版社)など。著書多数。