
震災と原発事故が示したのは、人の命にかかわる問題を「効率」の論理に立ってないがしろにしてきた政治・社会の歪みでもあった。その痛切な教訓を記録するとともに、被曝問題のとらえ方、新たな焦点となっている、医療をめぐる「成長戦略」、社会保障改悪、TPPなどの問題点を解明。非営利・協同という可能性を探る。
目次や構成
【目次】
- 第1章 被災地・宮城県からの報告
- 1 医療・福祉の分野から被災を捉え直す
- 2 復旧過程の問題
- 3 復興過程の問題
- 4 阪神・淡路大震災復興との比較、そして教訓
- 第2章 福島第一原発事故の構図
- 1 土壌汚染
- 2 年間積算線量、集団積算線量
- 3 自主避難
- 4 甲状腺がん
- 5 低線量率持続被曝
- 6 低線量放射線被曝の社会病理学
- 第3章 先端医療を進める前提ーー神戸医療産業都市と東北メディカル・メガバンクをどう考えるか
- 1 遅々として進まない復旧、復興
- 2 阪神・淡路大震災と神戸医療産業都市
- 3 東日本大震災と東北メディカル・メガバンク計画の浮上
- 4 バイオの時代の医療
- 第4章 社会保障制度改革推進法と今後の医療、介護、年金
- 1 憲法第25条を棚上げにする「社会保障制度解体法」
- 2 医療、介護、年金を破壊する方針
- 3 「自民党の哲学」
- 第5章 TPPと国民皆保険制度
- 1 TPPをめぐる動向
- 2 国民皆保険制度は非営利原則
- 3 TPPは日本の医療制度への介入
- 4 アメリカの保険業界の意図
- 5 日本政府の医療産業イノベーションとTPP
- 6 TPP問題と今後の予測と非営利・協同の役割
- 第6章 医療における非営利・協同組織の役割と課題
- 1 医療における非営利と公益性
- 2 非営利と協同の医療組織の独自性
- 3 非営利・協同組織の今後の課題
- おわりに
著者情報
角瀬保雄
1932年東京生まれ。法政大学名誉教授、非営利・協同総合研究所いのちとくらし顧問・名誉理事長。『「大競争時代」と規制緩和』(1998年、新日本出版社)、『非営利・協同組織の経営』(1999年、ミネルヴァ書房)、『企業とは何か』(2005年、学習の友社)など。

医療と地域社会のゆくえ 震災後の国で
定価2,200円
(本体2,000円)
2013年4月
非営利・協同総合研究所 いのちとくらし
2003年設立。内外の医療・福祉、非営利・協同の実践の調査、政策的提言活動にとりくむ特定非営利活動法人。

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