
新しい綱領の根底には、マルクスの未来社会論の現代における継承と発展がある。著者は本書のなかで、九十年にわったて世界に影響をおよぼしたレーニン以来の“定説”を大胆に吟味し、マルクスの「科学の目」が、未来社会について何を語っているかを、包括的に研究した。二一世紀に世界の前途を展望する理論的な指針。
目次や構成
- まえがき
- 第一部 「ゴータ綱領批判」の読み方
− マルクス、エンゲルスの未来社会論 −- 一 未来社会論とマルクス、エンゲルス
- (一) 「科学の目」で未来社会をとらえるとは?
- (二) 「ゴータ綱領批判」の読み方
- (三) 未来社会論と党綱領問題
- 二 国際的?定説″はどのようにして形成されたか
- (一) 『国家と革命』でのレーニンの「ゴータ綱領批判」論
- (二) スターリン − 二段階発展論をソ連社会美化の道具だてに
- 三 未来社会論での今回の綱領改定案の意義
- 資料 レーニン『国家と革命』から
- マルクス「バクーニンの著書『国家制と無政府』摘要」から
- 一 未来社会論とマルクス、エンゲルス
- 第二部 『資本論』のなかの未来社会論
− 綱領の諸規定の原理的な根拠を探る -- 一 未来社会の特徴づけについて
- 補論 Ⅰ 「生産手段の社会化」という用語について
- 二 未来社会と人間的発達
- 補論 Ⅱ 労働時間の短縮と未来社会 −『資本論』の準備草稿から
- 補論 Ⅲ エンゲルスの「自由・必然」論との混同をいましめる
- 三 人類の「前史」から「本史」へ
- 一 未来社会の特徴づけについて
- 第三部 『「資本論」全三部を読む』
『ふたたび「科学の目」を語る』から- (一) 社会変革の目標の定式化
- (二) 「社会的理性」と経済の計画的運営
- (三) 「結合した生産者たち」が主人公
- (四) 変革と移行の過程の長期性について
著者情報
不破哲三
社会科学研究所所長。1930年生まれ。主な著書「北京の五日間」「私たちの日本改革論」「日本共産党と中国共産党の新しい関係」「二十一世紀と『科学の目』」「科学的社会主義を学ぶ」など多数。