
健康と幸福を見つめながら考える日本の「今」
憲法がめざす幸せの条件 9条、25条と13条
日野秀逸=著
戦争放棄の九条と生存権の二五条が、幸福追求権を定めた一三条の「必要条件」――医療と社会保障を深く広く探究してきた著者ならではの憲法観をわかりやすく語ります。社会保障が生まれた理由、経済と女性を活性化させている北欧社会、健康観の歴史的変遷など、日本と日本人を見つめ直すうえで興味深い智恵が満載の一冊です。
目次や構成
〔目次〕
- はじめに――9条、13条、そして25条
- 第1章 生きる目的は金儲け? ――「構造改革」が前提とした人間像
- 国民にもたらした「思想」と政策
- 「構造改革」の果実は大企業に
- 第2章 平和と健康が「必要条件」――憲法的な人間像
- ごくふつうの人間像を前提に
- 生存権とは何か
- 国民の不断の努力によって維持される
- 第3章 戦争になると健康と経済はどうなる――歴史と現実から学ぶ
- 厚生省の設置――戦争推進のために
- 労働力と兵力不足
- 戦争をしないメリット――スウェーデンとアメリカの対比から……ほか
- 第4章 社会保障はどうして生まれたか――自己責任論ではやっていけない
- 社会問題化した生活問題が社会保障の対象
- 自己責任と自由放任は資本主義を破壊する
- 貧困への理解と社会保障への第一歩
- 第5章 日本を幸せにするには――国際比較から考える
- 日本の貧困と社会保障の関係
- スウェーデン社会に学ぶ
- 第6章 生命と健康についての思想
- 「健康の主権在民」という考え方
- 資本主義の発達の中で
- 第一次世界大戦の悲惨な経験から……ほか
- 第7章 人間の健康とは何か
- 動物一般の健康と人間の健康
- 自然、社会の変革と人間
- 参考になるマルクスの健康観
- おわりに
著者情報
日野秀逸
国民医療研究所所長、東北大教授。1945年生まれ、東北大医学部卒。大阪大医学部助手、国立公衆衛生院衛生行政学部衛生行政室長、都立大教授などを歴任。『世界の医療・日本の医療』(旬報社)、『社会サービスと協同のまちづくり―「構造改革」と保健・医療・介護・福祉』(編著、自治体研究社)、『アウシュヴィッツの医師たち―ナチズムと医学』(訳、三省堂)など著書多数。