
全三部の各篇各章に生涯にわたるマルクスの研究史がある。その歴史を刻んだ諸草稿と取り組んできた著者が、前回『全三部を読む』以来の研究成果を全面的に生かして、全三巻の通読・再読に挑戦する方々におくる読書案内。『資本論』のそれぞれの部分で、マルクスの到達点とそこにいたる過程が浮き彫りにされる。マルクス生誕二〇〇年、読者に贈る記念の書。
目次や構成
- 連載論稿を『「資本論」探究ー全三部を歴史的に読む』にまとめるにあたって
- 序説 全三部通読の前に
- (1) 第二版「あと書き」の二つの文章を読む
- (2) 『資本論』の準備と執筆の歴史を頭におく
- Ⅰ 『資本論』第一部を読む
- (1) 「商品と貨幣」の篇は四回も書き換えられた
- (2) 第一篇 商品と貨幣」を読む
- (3) 第二篇から第三篇へ。「剰余価値」の初登場
- (4) 第三篇第八章「労働日」以後を読むにあたって
- (5) 労働者の生存と存続を守る階級闘争の必然性
- (6) 「全体労働者」ー労働者の結合の態様が発展する
- (7) 機械と大工業。マルクスに研究の「空白」の時期があった
- (8) 「機械と大工業」の章のいくつかの論点について
- (9) 第五篇。中間的なまとめ
- (10) 第六篇 労賃
- (11) 第七篇 資本の蓄積過程(その一)蓄積の理論問題
- (12) 資本の蓄積過程(その二)労働者階級の運命
- (13) 資本の蓄積過程(その三)本源的蓄積
- (14) 資本の蓄積過程(その四)「必然的没落」論の定式
- Ⅱ 『資本論』第二部を読む
- (1) 第二部の成立過程をスケッチする
- (2) 「資本の循環」の研究(その一)
- (3) 「資本の循環」の研究(その二)恐慌論が登場する
- (4) 「資本の回転」(その一)恐慌の周期性の物質的基礎
- (5) 「資本の回転」(その二)
- (6) 第三篇の壮大なテーマ
- (7) 再生産論の学習へのすすめ
- (8) 拡大再生産論。マルクスの苦悩とエンゲルス誤解
- (9) 資本主義的生産の前途をめぐって
- (10) 書かれなかった恐慌論の内容を推理する
著者情報
不破哲三
社会科学研究所所長。1930年生まれ。主な著書「北京の五日間」「私たちの日本改革論」「日本共産党と中国共産党の新しい関係」「二十一世紀と『科学の目』」「科学的社会主義を学ぶ」など多数。