
全三巻のうち最も早い時期の草稿から編集された第三部。マルクスが乗り越えた古い命題の残存にエンゲルスの編集上の誤解も加わって、『資本論』のなかで最も謎の多い部分だが、著者は多年にわたる諸草稿研究の成果も生かして、その謎を次々に解いてゆく。「マルクスと日本」をめぐる研究の「終着点」を報告した論考や、『資本論』をめぐる諸経過を俯瞰する新しい年表も収録。
目次や構成
- Ⅲ 『資本論』第三部を読む
- (1) 第三部の研究対象は何か―「日常の意識」のなかの世界に近づく
- (2) 一般的利潤率と市場価格
- (3) 利潤率の傾向的低下の問題をめぐって
- (4) 『資本論』第三部の構想の歴史的な変化
- (5) 第四篇。商人資本と恐慌の運動論
- (6) 商人資本の歴史的スケッチ
- (7) 第五篇。利子生み資本の研究
- (8) 信用度下の利子生み資本(その一)
- (9) 信用度下の利子生み資本(その二)
- (10) 信用度下の利子生み資本(その三)
- (11) 「資本主義以前」(第三六章部分)を読む
- (12) 第六篇の執筆まで
- (13) 緒論と絶対地代論
- (14) 差額地代論―マルクスの「展開の独自性」
- (15) 地代形態の世界史
- (16) 第七篇。「三位一体的定式」と未来社会論
- (17) 「スミスのドグマ」批判
- (18) 最後の諸章について
- 結び 連載を終わって
- 「マルクスと日本」―探究の旅は終着点を迎えた―
- 資料 マルクス、『資本論』の準備と執筆をめぐる年譜
著者情報
不破哲三
社会科学研究所所長。1930年生まれ。主な著書「北京の五日間」「私たちの日本改革論」「日本共産党と中国共産党の新しい関係」「二十一世紀と『科学の目』」「科学的社会主義を学ぶ」など多数。