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マルクスにも歴史がある。大転換の1865年にも焦点を当てた探究

マルクス 弁証法観の進化を探る 『資本論』と諸草稿から

不破哲三=著

定価2,200円(本体2,000円)

出版年月
2020年1月
ISBNコード
978-4-406-06397-5
仕様
0030/ A5判並/ 312P
タグ
人文    科学的社会主義   
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マルクスの二つの弁証法命題(第一命題=「研究過程の弁証法」、第二命題=「発展と没落の弁証法」)を軸に、どのような方法論の進化があったかを究明。弁証法についての沈黙の時期から、恐慌論探究のなかで起きた1865年の「ひらめき」以後の発展など、全過程を探って見落とされていた“ミッシング・リンク(失われた環)”のもつ広範な意義を明らかにする。

目次や構成

目次

  • まえがき
  • 序篇  マルクスの弁証法探究の歴史
    • 一  弁証法との絶縁の時期があった
    • 二  経済学の著作『草稿』執筆と弁証法観の転換
    •   へーゲル弁証法にたいする態度の転換
    •   マルクスの経済学研究の当時の到達点
    •   新しい経済学の方法論──弁証法観の転換
    • 三  『資本論』第一部第二版の「あと書き」を読む
    •   『資本論』第一部ロシア語版の刊行
    •   マルクスを感激させたカウフマンの書評
    •   弁証法について。マルクスの「第一の命題」
    •   弁証法について。マルクスの「第二の命題」
  • 第一篇  研究過程の弁証法──「叙述の仕方」と「研究の仕方」──
    • 一  方法論の角度から「序説」を読む
    •   経済学の研究対象について
    •   経済学の方法の問題
    •   へーゲルの弁証法をいかに活用すべきか
    •   著作の構成序列について
    • 二  「資本一般」が『五七〜五八年草稿』の内容
    •   「三分法」が「資本」部分を構成する指針となった
    •   「資本一般」をどう定義づけるか
    •   忘れられた再生産論の最初の表式化
    •   利潤率低下の法則も「資本一般」の枠組みで論じる
    •   同じ弱点は『六一〜六三年草稿』にもひきつがれた
    • 三  次の草稿執筆を周到に準備する
    •   抜粋ノートから「引用ノート」を作成
    •   「引用ノートへの索引」と「資本主義」の呼称の登場
    •   『五七〜五八年草稿』の「摘録」をつくる
    •   『六一〜六三年草稿』のプラン作成
    • 四  『六一〜六三年草稿』と「資本一般」
    •   (1)『六一〜六三年草稿』の執筆。1861年段階
    •   『六一〜六三年草稿』の執筆を開始
    •   機械論での挫折 草稿執筆を中断する
    •   (2)1862年。「剰余価値に関する諸学説」
    •   ノート一三冊に及ぶ学説史研究
    •   (成果一)再生産論の形成
    •   (成果二)絶対地代論の誕生
    •   (成果三)恐慌論の包括的探究
    •   (成果四)方法論での開眼
    •   「資本一般」の枠を外してこその達成
    • 五  恐慌の運動論の発見が、『資本論』構成の新局面を開く
    •   第三部草稿執筆中のインタナショナル発足
    •   第二部第一草稿での恐慌論の新たな発見
    •   『資本論』の著作構成の根本的な変更に踏み切る
  • 第二篇  使用価値と交換価値の弁証法
    • 一  使用価値論の突破口を開く
    •   最初の商品論には「使用価値」が登場しなかった
    •   剰余価値論が使用価値研究の「突破口」に
    •   突然の問題提起──使用価値論の一般化はありうるか?
    • 二  商品論の新たな発展──使用価値と交換価値の対立と統一
    •   1858年6月〜59年1月  著作の内容に根本的変化が起こる
    •   使用価値観の根本的な変革──「索引ノートから」
    •   『経済学批判』第一分冊の完成まで
    •   商品世界研究の新しい次元。『経済学批判』、そして『資本論』へ
    • 三  固定資本。使用価値規定をめぐる混迷
    •   「固定資本」と「流動資本」をどう定義するか スミスとリカードウの場合
    •   『五七〜五八年草稿』でのマルクス
    • 四  機械段階の「固定資本」論(『五七〜五八年草稿』)
    •   機械段階。労働者の地位はゼロに近づくか
    •   ユア『工場哲学』を読みながら
    •   大工業の発展は価値規定を否定するか?
    • 五  『六一〜六三年草稿』での使用価値規定
    •   著作の第一歩から使用価値と交換価値の弁証法が登場
    •   機械論でのつまずきと使用価値問題
    •   執筆再開後は使用価値規定を全面的に活用
    • 六  俗流経済学者の滑稽な非難にたいして
  • 第三篇  発展と没落の弁証法──「肯定的理解」と「必然的没落の理解」──
    • 一  「恐慌=革命」説の成立
    •   1850年に誕生した「恐慌=革命」テーゼ
    •   テーゼ成立に至る経過を見る
    •   利潤率低下の法則にかんするマルクスの歴史的発見
    •   利潤率の低下法則を「恐慌=革命」説に結びつける
    • 二  『五七〜五八年草稿』の場合
    •   マルクス、「資本の文明化作用」を強調する
    •   労働者階級の役割への言及がない
    •   「必然的没落の理解」は無証明のままに終わった
    • 三  『六一〜六三年草稿』の場合(1861年段階)
    •   利潤率低下と恐慌。最初の探究
    • 四  『六一〜六三年草稿』の場合(1863年段階)
    •   労働者階級の位置づけに大きな変化があった
    •   「独自の資本主義的生産様式」が機械制段階の代名詞に
    •   機械制工業における新しい労働者像──「全体労働者」
    •   未来社会の担い手という主体的条件の発展
    • 五  運命的な年──1864年
    •   ヨーロッパ情勢の変化の進行を見る
    •   ヨーロッパの労働者運動との接触が始まる
    •   「必然的没落」論の立証をめざし、市場競争の研究に踏み込む
    •   インタナショナル創立にあたって
    • 六  恐慌の運動論の発見(1865年)
    •   マルクスが発見した恐慌発生の仕組み
    •   それはマルクスの経済学研究の大きな転換点となった
    • 七  1865年。ただちに『資本論』構想の転換へ
    •   再生産論の第二部への組み込み
    •   講演「賃金、価格および利潤」
    •   『資本論』第三部第四章〜第七章の執筆
    •   エンゲルスに『資本論』草稿の完成を知らせる
    • 八  『資本論』第一部完成稿の執筆
    •   労働者階級の主体的発展を追跡する
    •   新たに書き起こした「第二三章」──社会的格差の極限までの拡大
    • 九  「必然的没落」の弁証法。最後の到達点
    •   資本主義的生産の成立と発展。徹底した収奪とその結果
    •   「必然的没落の理解」の結論的な定式
    •   社会変革の内容について──二つの文章
    •   [補注]  マルクスによる過渡期の理論の展開
    • 一〇  新しい恐慌論のその後
    •   第三部草稿──商人資本論での恐慌論の展開
    •   第二部第二草稿──恐慌論の本格的展開は第二部最後の部分で
    •   第二部第五草稿──新しい恐慌論の意義づけを明確に
  • 第四篇  弁証法の解説者、エンゲルス
    • 一  実現しなかったマルクスの弁証法解説
    • 二  エンゲルスと弁証法
    •   エンゲルスにも、弁証法とは無縁な一時期があった
    •   弁証法研究をマルクスに知らせた最初の書簡
    •   エンゲルス、マルクスの弁証法を解説する
    •   自然弁証法の研究への八年間の集中
    • 三  デューリングとの論争のなかで
    •   1870年代、ドイツの党内にデューリング熱が発生
    •   エンゲルス『反デューリング論』における弁証法
    •   弁証法は、事物に外から当てはめる「型紙」ではない
  •   
  • あとがき

著者情報

不破哲三

社会科学研究所所長。1930年生まれ。主な著書「北京の五日間」「私たちの日本改革論」「日本共産党と中国共産党の新しい関係」「二十一世紀と『科学の目』」「科学的社会主義を学ぶ」など多数。