
第二次大戦中「国民学校」一期生だった大原氏と、教育問題で発言を続ける小森氏が、前文から第11条までの教育基本法を読み解く。読む機会の少ない同法を、平易な言葉と大阪弁で言い換え、その大切さをうきぼりに。教育基本法がなかった時代と、それを具体化させていった時代の体験からわかりやすく語る。
目次や構成
[目次]
- 教育基本法
- はじめに
- ふつうの言葉で読む 小森 陽一
- 大阪の言葉で読む 大原 穣子
- ことばを耕しながら読むおもしろさ 大原 穣子×小森 陽一
- 教育基本法がなかった時代
- 暗記させられた教育勅語
- イメージ、身体、刷り込み
- 近代の学校と子どもたち
- 島で迎えた敗戦、学校の変化
- 前文
- 「文化国家」と「文化的な国家」
- 憲法を「身につける」ため
- 「希求」ということばと熱い心
- 違いを認め尊重し合う文化
- 親も子どもから教えられる
- 第一条 教育の目的
- 誕生、ケアと「人格の完成」
- 個人の価値と、他者、平和
- 「モラル」と死者への負い目
- 「勝ち組・負け組」の社会で
- 「国に命を投げ出す日本人を」
- 第二条 教育の方針
- メディアや芸術が果たす役割
- 共に育つ「共育」の大切さ
- 狙われる愛国心の刷り込み
- 第三条 教育の機会均等
- 「貧しさ」と子どもの心の傷
- 未来を描けない子どもたち
- 「すべて」「ひとしく」外す?
- 第四条 義務教育
- 憲法第二六条の考えでは・・・
- 生存権と戦争国家の国民感情
- 第五条 男女共学
- 中教審や与党は削除を主張
- 潜在的には慰安婦の問題が
- 第六条 学校教育
- 与党案の「研究と修養」とは
- 国民、子ども全体への攻撃
- 第七条 社会教育
- 減らされる社会教育の予算
- 命を奪うために使われる税金
- 第八条 政治教育
- 主権者として必要な「教養」
- 政治教育と「党派的教育」
- 第九条 宗教教育
- 強制があってはならないと
- 靖国神社と『心のノート』
- 第一〇条 教育行政
- 国家に支配されてはならない
- 主語に二文字加えるごまかし
- 第一一条 補則
- 学習指導要領と「無法地帯」
- 教育と共育をとりかえす運動
- あとがき
著者情報
小森陽一
1953年生まれ。<BR> 北海道大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程修了。成城大学助教授を経て、現在東京大学大学院総合文化研究科教授。<BR> おもな著書<BR> 『構造としての語り』(新曜社)<BR> 『日本語の近代』(岩波書店)<BR> 『ポストコロニアル』(岩波書店)<BR> 『日露戦争スタディーズ』(紀伊国屋書店)<BR> 『天皇の玉音放送』(五月書房)<BR> 『歴史認識と歴史小説―大江健三郎論』(講談社)<BR> 『研究する意味』(東京図書)<BR>
大原穣子
女優・方言指導者<BR> 1935年、大阪生まれ 日本俳優連合理事、「ドラマの方言を考える会」世話人代表、東京俳優生活協同組合(俳協)所属<BR> 1952年、京都くるみ座で初舞台、1962年東京・劇団三期会、1972年演劇集団未踏を経て、現在各分野で活躍中。<BR> 著書『ローカル色のパレット』(光陽出版社)『故郷のことばなつかし』『好きやねん、大阪弁』(新日本出版社)

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2005年5月